
「人斬り以蔵の道理」吉川永青 中央公論新社
2024年7月読了していました
重め(と言うより不気味な😅)の内容だったので何となく感想を直ぐに投稿する気にならず…
主人公は土佐藩の獄卒・小田切聡介と
武市半平太に心酔し、武市の為なら己の命を差し出すことなど何とも思わない岡田以蔵
この二人、家の格差はあるが幼い頃からの仲
以蔵の考える「道理」とは
自分の心に正直に行動する事こそが正義
歪んだ生き方をする者を始末してやることは善行と捉えていた
以蔵は、武市も共通する道理をもち理解し合える同志のように思っているようだったが
武市は、以蔵の狂気を利用して自分にとって邪魔になる者を一掃させていたのだろう
以蔵が思うほどの心を繋ぐような関係性ではなく、上に立つ者と使われる者という関係だったのではないだろうか
土佐藩に捕縛された武市の口を割らすため、師弟関係にある以蔵から話を引き出そうと
幼馴染でもあった獄卒の小田切聡介が尋問を任される
聡介の実兄を殺害した容疑もある以蔵が滔々と語る自身が行ってきた身の毛もよだつ所業数々
聡介の尋問に答える以蔵は、まるでサイコパス
それに操られ主人公が落ちてゆく闇
ラストは、想像もつかなかった
時代小説だが、現代のサイコサスペンス小説を読んでいるような気持ちになった