
「春よ来い、マジで来い」足立紳
キネマ旬報社
まずは、足立紳について
朝ドラ「ブギウギ」の脚本家です
読む前に、あとがきを読んだ方が登場人物の関係(実在の人物や話とフィクションが混ざってる)が分かりやすいかもしれない
で、この本の内容
主人公の大山は新人シナリオライターを目指し、コンクールに応募したりしながら気づけば30歳も目前
映画関係や芸能関係で低空飛行を続ける仲間4人と阿佐ヶ谷のアパートで共同生活
そんな日々の中のある期間を書いた小説
青春と呼ぶには年を取りすぎてしまった彼らの先の見えない日々
30近くなっても、内面はまだまだ青春を引きずっている様な生活で、アルバイト生活をしながら長年付き合った彼女からはやんわりと別れを告げられ(泣いて縋って別れ前提の保留まで持ち込み復縁を目指している情けない男)
彼女との復縁を目指しながらも、セックスフレンドのような女とダラダラと関係を続けていたり、女子大学生に恋をしてしまったり…何をやっているんだお前は!な大山
シナリオライターとしても芽も出ず、他の同居人も同じような状況なのだが、アパートでの生活は意外にも穏やか
その穏やかさは、作中にも書かれているが椎名誠「哀愁の町に霧が降るのだ」での、仲間たちとの共同生活を彷彿とさせる
人物名は出ずに「その人」という呼び名でよく登場するのは、相米慎二監督か?
あとがきを見て「あ、ブギウギの脚本家なんだ」と知る
同居人同士の会話とか、人物評とかの文章が面白くて、読みながら深夜ドラマを見ているような気分になりました