「八月の御所グラウンド」万城目学 読了 | pyonpyon ブログ

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「八月の御所グラウンド」万城目学 文藝春秋

「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」「プリンセス・トヨトミ」「偉大なる、しゅららぼん」等の作家、万城目学の新刊です



十二月の都大路上下(カケ)ル」「八月の御所グラウンド」の2編


どちらも京都が舞台の話で、ファンタジー系で少しだけ似たポイントがありますがそれぞれは別の話



「十二月…」の方は高校女子駅伝のレース中に不思議な事があった、あったか?みたいな話で60頁ほどの短い話



メインは表題にもなっている「八月の御所グラウンド」


すごい、好きだわ〜♥この作品



主人公の朽木は夏休み直前に彼女に振られてしまった京都の大学生

彼の友人、多聞は同じ大学の理系5回生(留年組)

就職内定を得たが研究室に顔も出さずにバイトに専念していたために卒論のための研究データが無い

このままでは卒業が出来ない…

そんな時に研究室の三福教授より有り難い交換条件を提案される

「たまひで杯に優勝してくれたら卒論の材料をあげるよ」


60代の三福教授やその他の参加チームのオーナー達は、若かりし頃に自分を勇気づけてくれた憧れの芸姑「たまひで」の名を冠に付けた草野球大会を毎年お盆近い夏休みの早朝に開催していた



焼き肉をご馳走され1人ぼっちの夏休みで暇だった朽木、多聞の水商売バイトの仲間、研究室の仲間などが集められ、ひと夏限定の草野球チーム「三福」が出来上がる



毎回、何らかの不都合(前夜の仕事で潰れて不参加など)が生じ、偶然見に来ていた中国人女子留学生シャオさん、シャオさんが声をかけてチームに引き入れた工場で働く、えーちゃん

後に、えーちゃんが連れてきた大学生の遠藤くんと、えーちゃんの工場の後輩、山下くん


このメンバーで、五山の送り火までひと夏の青春が始まる



前半、文章も野球の描写もふふっと笑えるような楽しい内容


後半は前半に撒かれたヒントのような何気ない言葉を回収しながら進む


五山の送り火を見ながらの場面では

鼻の奥がツンとして涙が少しだけこぼれてしまった



第一刷発行は八月十日




いい作品だった