「李王家の縁談」
林真理子 文藝春秋
梨本宮伊都子の日記を元に創作(部分的)された小説
娘の方子とは従姉妹にあたる久邇宮良子女王が皇太子妃に内定
我が娘に皇太子妃の可能性がなくなった伊都子は方子の嫁ぎ先にはそれ相応の身分の男子を探さねばならない
維新の後、仏門に入っていた親王などが還俗して新宮家を立て宮家の数は増えては行ったが、年の釣り合う良い人材となるとなかなか見つからない
そこで、はたと思い付いたのが朝鮮王朝の王世子(皇太子)李垠イ・ウン
10歳で来日し、学習院から陸軍中央幼年学校、陸軍士官学校、軍人の道を歩んでいた李垠は当時18歳の穏やかな青年
真面目で健気な雰囲気を漂わせる王世子を気に入り方子との縁談を進めていく
中盤までは宮家(皇族)と華族との歴然たる身分の差、宮家での集まりでの様子や生活の様子、李垠の一族の事など(どこまでが史実でどこからが創作なのか分からないが)読み物としては面白い
その後、関東大震災、第二次世界大戦、戦後と駆け足で通りすぎる
伊都子の加齢と生活の変化に伴って日記の内容があっさりしてきたのか?これといった内容も無く、突然に正田美智子、皇太子妃内定!の日記で終わる
伊都子の夫、梨本宮守正は久邇宮良子女王の父である久邇宮邦彦王の弟にあたるが、この兄が問題の多い人で伊都子は毛嫌いしていたように書かれている
広島の原爆で命を落とした李垠の従兄弟にあたる李鍝(り ぐう)イ・ウ
2000年くらいにEテレで放送していた「E TV」と言う番組で「李鍝りぐう皇殿下」として特集したのを見たことがあるのだが、容姿端麗で彼の元で勤務していた女性職員達(当時はまだ存命)も口を揃えて優しくて素敵な方でしたと。
番組で使われた首をかしげるようにしたスナップ写真に魅了されたのを思い出した。ネットで掲載されている画像には無いみたい、残念です。
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