「王朝小遊記」 諸田玲子 文芸春秋
学生向け平安ファンタジー、って感じの話
登場人物は
良い人達
ナツメ・・・下級官人の娘だったが父が亡くなり頼る身内もなく現在は物売り女をしている
ナマス・・・(煮ても焼いても食えない爺さん)貴族に生まれ名家の家司だったが政事に敗れ(藤原伊周隆家対道長)失脚
シコン・・・紫紺の内侍、名家の姫の女房として使えていたが主の死後、姫は道長の息子の女房(使用人)とされ、紫紺は失職
コオニ・・・父は無く、母は内裏つとめ、使用人に囲まれ裕福に暮らしてはいるが、寂しい毎日
ニシタカ・・・隆家の元で「刀伊(謎の海賊集団の襲来)」征伐に大宰府に行った過去を持つが現在は羅生門に住みつく浮浪者を束ねて暮らしている
それぞれが違う理由で現政権の藤原道長やそれに続く者に少なからず恨みを持っている
悪い人
仲助・・・元ナツメの家の使用人だが父の死後、ナツメを我が物とし亭主気取りで居座った挙句に逃げた男。能筆で能弁なので現在も名家に潜り込んで職を得ている
話は、京の嵐山で美男の僧都が信者を集めて怪しい祈祷をしているとの噂が広がる
都では、人を食い荒らす鬼が出没している
これも僧都に関係しているのか?
昔、ニシタカと恋愛関係にあった堀川三条の姫も(戻らないニシタカを案じ)嵐山へ行き軟禁されてしまった
この5人の仲間達が集められ鬼退治と怪しい僧都の本拠地から姫を奪還するために動き出す
美男の僧都は、大隅国で受領国司を射殺して15年もの間幽閉されていた大蔵光高らしいとか
鬼は刀伊の時に捕えられた異国人を大蔵が操っていたとか、ストーリーは全体的に緩い
ラストも皆元に戻って良かったね、みたいな終わりかた
大人には物足りなさ過ぎる内容
設定と登場人物は、まあまあ良かっただけに詰めの弱さが目立つ(途中で投げ出した?)な展開が残念
朝日新聞の紹介ではワクワクする平安冒険絵巻みたいな説明だったけど、ホントに最後まで読んで寸評してるの?