「利休の茶杓」 山本兼一 文芸春秋
真之介とゆずの道具屋、とびきり屋のシリーズ
前作からの続きで舞台は幕末の京都
今作品では、壬生浪から新鮮組となったが
相変わらず芹沢鴨が店に顔を出し難癖をつけては真之介とゆずを困らせる
河原で商売をする竹細工の家具職人の男が茶杓を集める道楽を止めないからと怒った女房が揃いものの茶杓を茶箪笥ごと売り払ってしまう
それを手に入れた真之介、その中に利休の作ったものらしい茶杓があった
それをめぐって、名品を手に入れたい茶の湯の家元若宗匠、お金に変えたい芹沢鴨、それを取り戻したい元の持ち主ととびきり屋若夫婦との間での騒動
話の最後は、とびきり屋の番頭伊兵衛と手伝いの娘きよとの結婚話で終わるが、武家社会が終わりを告げ明治へと変わって行くさまを移りゆく時代を見てきた茶道具や骨董を扱う「とびきり屋」を通して描いていくつもりだったであろうに作者の急逝で終わってしまった
どれが(他の出版社の本もこれから出版されるだろうから)最期の作品になるかわからないけど、シリーズの最後としては平凡な内容だったのが残念