ひでごんの独り言&小説みたいなもの -32ページ目

ひでごんの独り言&小説みたいなもの

何か気ままに
書いていこうと思います。

マスターが、クスリと笑った。どこか、寂しげに。

あさみは、そんなマスターの表情を見逃さなかった。口を開けようとしたとき、「でも、物語は、ハッピーエンドが一番ですね。」と、マスターの言葉に、さえぎられてしまった。

 気をそがれてしまったあさみは、疑問をいったん飲み込んだ。

マスターはもう、いつもの優しい表情に戻っていた。

 「マスターって、ロマンチストでよね。」

 あさみは、カウンターに両肘を付いて、手の甲に顎を乗せて悪戯っぽく笑った。

 「何歳になっても男は、少年のままですから。」

どこか得意気な、マスターの声。

 「少年て言えば聞こえは良いけど、永遠の子供でしょ。」

 「はい。」

 マスターの、潔い返事が返ってきた。アサミは思わず、笑ってしまった。

それを見たマスターも、子供のような表情で笑ってみせた。

 ふとあさみが、目の前のグラスへと、視線を落とした。

 「零もそうなのかな。だから、あんな馬鹿げた夢に向かって、突っ走れたのかな。」

 ため息混じりの、声であった。

 「馬鹿げてますかね。」

 マスターの、どこか寂しげな返事であった。

 「私は、彼がうらやましかったんですよ。端から見れば、確かに馬鹿げているかもしれません。でも、男が脇目も振らずに突き進んだ、夢。そして、それを実行できる若さ。」

 あさみは、黙って聞いている。

 「若さ故って、人は言うかもしれません。でも、若い時にしか出来ない事の方が、多いんですね。だからこそ、いくらでもやり直しが出来る若いうちに、夢を追いかけた方がいい。立ち止まって、しまうまで。後ろを、振り返ってしまう時まで。」

 マスターが、土砂降りの外へと、視線を移した。遠くを、見るように。

あさみは、そっとマスターを見上げた。

”マスターは、いったいどんな夢をこの街で見ていたんだろう。今の言い方だと、きっと諦めてしまった、夢。”

あさみは、何かを言いかけて、それを飲み込んだ。どんな夢だったのか聞こうとしたのであった。野暮な事は、止めようと思ったのである。人には、触れられたくない思いでもあるのだから。

 アサミは、グラスをグイッとやって、差し出した。

マスターはそれを受け取り、仕事に取りかかった。

 あさみは、ぼんやりとこの10年を振り返りだした。

短かったような、長かったような。零のいなかった、10年。いろんな人と知り合った、10年。

 零に、行って来いと言ってから、本当に10年経ってしまった。

 仲のよかった友人は、皆、結婚してしまった。店に勤めだした時の女の子達も、みんな自分の物語を見つけて、去っていった。居なくなるたびに、嬉しさ半分。寂しさ、半分。

自分で選んだ物語なのに、寂しくてたまらなくなる事があった。

 寂しくて、押しつぶされそうになって、誰でもいいからこの心をうめてと、男の胸に飛び込みそうになったこともある。

 そのたびに、零の顔がうかんだ。そして、約束だけを糧に、今まで過ごしてきた。

 そして今日、待ち続ける物語も、終わりをつげる。それが、どんな結末であっても。

 あさみは、時計に目をやった。

 9時30分。

 胸が、高鳴り始めた。期待と、不安で。
ん-、何でしょうあの、辞任劇。

前日のあの余裕は、なんだったんでしょうね( ̄□ ̄;)

そして自民党もあの、ていたらく。

何を言っても、全部自分たちがやってきた事ですからね。

そういえば、あの小泉なにがしさん。テレビに出ない方がいいですね。

強行採決を専売特許にしていたのは、貴方の親父さんですよ。

もっと酷かったのが、その親父に指名された、阿部さんでした( ̄^ ̄)

親の七光りだけのボンボンは、国政にいらん!!

と、

ひでごんは、思ってます。

しかし、今度の選挙、酷い投票率なんだろうなー叫び

ちょっと、愚痴ってみました。

でわでわパー


そうであった。マスターの目の前で、約束したことをアサミは、思い出していた。ありさはおそらく、マスターから聞いていたのであろう。

 「懐かしいですね。本当に10年経っちゃいましたね。」

 マスターが優しい笑顔を作った。あの時と、同じように。

 「本当に。絵はがき1枚よこさないバカ男を、10年も待っちゃった。本当に、バカな女。」

 アサミは、クスリと笑いながら自分を指さした。「うん。バカ女。」と、少し戯けてみせた。

 「本当に!。」

 ありさの、ため息混じりのあきれ声。

 「いいじゃん。一人ぐらい、こんなバカ女がいても。」

口を尖らせながら、アサミが毒づいた。ありさは、「はいはい」と、手を振って返事をした。

 「さてと。」

 ありさが立ち上がりながら、カウンターにお金を置いた。

 「おごって上げるね。」

 そう言うとさっさと、ドアめがけてあるきだした。

 「あっ、ママ・・・」

 「結果、教えなさいよ。」

 ありさは、あさみの言葉をさえぎった。

 「それとバカ男に、よろしくね。」

 零が、来ることが前提の言葉であった。

 「ありがとう。ママ。」

 立ち上がりながら頭をペコリとさげる、あさみ。そんなあさみを振り返りながら、ありさが笑顔をみせた。そして傘と格闘しながら、外へと消えていった。

 残された二人は、互いに顔を見合わせた。

 「優しい人ですな。」

 「自慢の、ママです。」

 嬉しそうなあさみ。マスターは、満足そうに微笑んでいる。

 「新しいの、作りますか?」

 返事も待たずにマスターが、カクテルを作り始めた。いつもの手つきでいつものカクテルを作る、マスター。あさみは、10数年この姿を見てきた。最初の1・2年は、いつも零が横にいた。後の10年は、零を思いながら。

 「前に、店の女の子が言ってたことがある。人はみんな、自分の物語の中で生きてるって。」

 あさみは、独り言の様につぶやいた。マスターは、黙って聞いている。

 「人を好きになるって事は、自分と相手の物語だって。沢山経験する物語の中の、一つだって。」

 マスターが、新しいグラスをあさみに差し出した。それで唇を潤すあさみ。

 「それがたとえ、どんな結末を迎えようと。そして物語は、思い出になっていく。」

 「人は、沢山の物語の主人公をしながら、生きているのかもしれませんね。」

 「今あさみは、零を待ち続ける物語のヒロイン。」

 あさみは、自分を指さしてみせた。その瞳は、寂しげであったが、悲しげではなかった。物語はまだ、終わってはいないのだ。10年の、約束の物語。どんな結末を迎えるか。まだ、ラストシーンは、描かれてない。