“アンドゥオール”とはどう云う状態?


 脚の“アンドゥオール”に関して誤解している指導者の動画に凄い反響が出ている様ですね。私自身は見ていないのですが生徒達から色々と聞かされるのと感想が書かれたブログを読んでビックリしています。

 まあ脚を捻って立っていても動かなければ怪我する事も無く済むでしょうが、それで動くとなると話が変わります。




 その前に“アンドゥオール”とはどの様な状態を云うのかを知りましょう。


 “アンドゥオール”とは大腿部が外旋する事を言い、下腿部の外旋は考慮されません。

 これは極端な例ですが、もしも膝が前向きでつま先が真横向きでも、それは90度の“アンドゥオール”ではなく完全なる“パラレル”ポジションとなります。 ですから膝が斜め45度でつま先が真横向きでも“アンドゥオール”は45度となります。

 でも動画の主張が正しいとするならば、つま先が真横向きなら、どちらも90度の“アンドゥオール”として成り立つ事になります。



 しかし、どんなに膝が横向きになっても“アンドゥオール”とは見なされない事があるのです。



 それは骨盤から大腿骨が外旋する方向に筋肉が働いていない場合です。
 生まれつき関節が柔らかくて大腿部が大きく外旋出来る様な人でも筋肉が働いて居なければ、それは“アンドゥオール”している訳ではないのです。
 この場合、膝は横に向いているけど筋肉が緩んでいるので内股なのです。 『膝関節を捻って立てる条件の人』と云うのは筋肉を正しい方向に働かせていないので正にこれに当たります。


 『“アンドゥオール”とはポジションではなくムーブメント』と言われる所以です。


 そしては『脚を完璧に90度外旋させなければ“アンドゥオール”ではない』と云う決まりはありません。


 皆が勝手に『90度外旋しなければいけない』と思い込んでいるだけで身体条件の中で最大に外旋し続ける事が本当の“アンドゥオール”です。


※下腿部の外旋が考慮されないのは股関節と違い膝関節が一方向にしか屈伸しない関節だからです。 ある程度の遊びが関節にはありますが、決められた方向以外に関節を動かそうとすると故障を起こすので膝関節を過剰に外旋させる事は靭帯を伸ばすと云う怪我に直結するのです。




膝を捻ったまま動くとどうなるか?


 もし『膝が45度の外旋、膝下を捻ってつま先を真横向きに』と云う状態で立ち、そこから膝関節が捻れたまま動こうとすると何が起きるかを考えてみましょうか?



 “プリエ”では膝とつま先を骨盤の真横に開脚するのが理想とされますが、大腿骨が斜め45度方向までしか“アンドゥオール”していないのに骨盤の真横方向に膝を開脚して行くと、つま先、膝、骨盤は一直線に並ぶとしても、大腿部の状態は外腿側が上向き加減に、内腿側が下向き加減になります。


 この大腿部の状態を“バットマンタンデュ”に置き換えて見ましょうか。

 外腿側が上向き、内腿側が下向きとはパラレルを超えて完全なる内股ですよね。



 つまり、この“プリエ”は内股なんです!



 と云う事は、“プリエ”前のポジション『“アンドゥオール”で膝を捻ってつま先を真横に向ける』と云うのも実は内股だと云う事です!





 ですから『アンドゥオールは脚を捻って立っている』と云う動画をアップした方は“アンドゥオール”がどう云う状態を指す物なのかと云う事を勘違いしているのです。




 バレエの動きが正しいのかを見極めるには違う視点からの検証も必要です。

 “アンドゥオール”なら大腿部の状態をよく観察して、その先の下腿部の状態に惑わされない事です。



 脚とは股関節から伸びて居るのですから膝までを正しくコントロールすれば、その先は殆ど何もしなくても勝手に“アンドゥオール”されます。



 足先で小細工をすればする程脚全体のフォルムが崩れますので、脳天からつま先まで真っ直ぐに引き伸ばされている意識でレッスンして下さいね(^_-)-☆






 9月7日(土)のめるもバレエスタジオでの講習会参加者募集中です。
 ライブ配信もあります。