足首が弱いから立てないの?
ポワントやドゥミポワントで安定して立てない理由を『足首の弱さ』だと思い込む人が多い様ですが立てないのは決して足首の力の問題ではありません。
大体足首の強さって何ですか? 脹脛の筋力の強さ? 足首がグラグラ揺れない事、それとも足裏で床を押す力の強さの事?
『足首が強い・弱い』と皆が言う割に、それが何なのかが理解出来ていない人が多いのです。
足首の強さが何なのか理解出来ていないと『ドゥミポワントで踵が中途半端な位置だと辛いけど、上がり切っていれば楽』と云う様な勘違い等が起こります。
指導者やプロダンサーでさえ『ポワント等で足首が安定しないのは足首の筋力が弱い所為だ!』と主張する方が多いのですが、では脹脛や足裏に筋肉を付けたら足首は強くなるのでしょうか?
足首の強さの本質を理解していないと足首を鍛える為と称してルレヴェを何十回もやらせるとか正気とは思えない様なトレーニングを課す指導をしてしまったりするのです。
近視眼的に身体の一部だけを酷使する様なトレーニングは絶対にやらせてはいけません。
足首の強さとは釣り合い力!
私は足首の強さと筋力はあまり関係ないと思います。
何故なら足首の強さとは『釣り合いを保つ力』だからです。
“プリエ”の時も膝を折り畳む力と膝を伸ばす力の両方の釣り合いによって“プリエ”をコントロールしている様に足首も折り畳む力と伸ばす力の釣り合いで足首をコントロールしていて、この足首をコントロールする意識の強さが『足首の強さ』なのです。
よく理解出来ないと云う人の為に説明すると、紐の両端を左右に引っ張って紐をピンと張った状態にします。 紐を右側に引っ張る時に左側にも引っ張る力を掛けて置けば紐はピンと張った状態のままですが、左側の引っ張る力を抜いてしまうと張りが失われてしまいます。
次に紐を左側に戻す時に左側だけを引っ張ると紐は更に緩んで揺れだします。
これが紐で無くて体幹だったら?
『動かせば動かす程緩んで揺れ出す』と云う事が起こるのです。
この様に身体を動かす際に片側だけを引っ張ると釣り合いが崩れて不安定になるので必ず反対側への引っ張りを行い釣り合いを取る事を意識するのです。
アテールに降りる時に足首の伸ばす力と折り畳む力のバランスが崩れると踵は床に叩き付けられる様に落ちてしまいます。 これは足首が弱いと言えますよね。 でも床を押す力が弱い訳ではないので“ルレヴェ”を沢山練習させる意味が無い事は一目瞭然です。
ここまで説明して来て聡明な方なら、私の説明は『引き上げ』の事だと気付かれたと思いますが、結局は『足首の強さ』とは引き上げが正しく出来ているかどうかと云う事に掛かっているのです。
9月7日(土)にめるもバレエスタジオでの講習会の参加者募集中です。