女性から目線も手も離してはダメ!


 パドゥドゥにもロジックが存在します。 何も解らずにサポートされる(する)のと、ロジックを理解してサポートされる(する)のでは大きく異なります。


 例えば回転系のサポートでは男性が女性を回しては駄目です。


 回転のサポートとは女性の回転軸を倒さない様に守る事を言うからです。 回転力は女性自身が作る物で男性側がやる事ではありません。

 男性に出来る事は女性が回転しやすい様に手伝って上げる事だけです。

 これを無視して男性が女性を回すと、女性の軸は崩れやすくなります。



 考えてみて下さい。 走り出そうとした瞬間、若しくは走っている途中に後ろから強く押されたら、どうなりますか?

 そんな事をされたら前に倒れてしまいますよね。



 これと同じ様に男性が強い力で女性を回すと女性の力では抑え込めない位の遠心力が働いてポジションを保てなくなるのです。

 女性を沢山回そうとして回転中に力を足すとしても、その動き自体が女性を倒してしまったり、手を動かす動作の時に女性の身体から男性の手が一瞬離れて、その一瞬に女性の軸が倒れたりするのです。

 ですから女性を回そうとすればする程女性が倒れて行くと云う現象が起きてしまいます。


 男性が気を付けるべき事は正しい軸の位置を手で教えて、そこへ女性を誘導して上げる事です。
 右ピルエットなら女性の軸脚(左脚)と脇が真っ直ぐに引き上がるべき場所に予め左手を置き、女性の脇腹が左手に接していれば真っ直ぐに立てると教えて、右手はそこへ優しく誘導して上げれば良いのです。
 回転中も左手は絶対に動かさず、軸が倒れないか目視確認もし続けなければなりません。

 つまり男性は女性の軸を女性以上に把握して、そこを女性に対して示し続ける力量が必要で、その為にパートナーから目を離さない、常にパートナーのと繋がり(直接間接を問わず)を切らないと云う意識が大切になって来るのです。




サポートとは補助する事!


 女性側もサポートして貰う事の意味を理解しましょう。 

 サポートとはあくまでも手伝い、つまり補助する事であって自立出来ない人を立たせる事ではありません。
 女性のテクニックをより高度なテクニックに見せる為に男性が補助しているだけで、女性自らが出来ない事を出来る様にする魔法の様な物では無いのです。
 ですからパドゥドゥを踊る以上はパートナーと組む前に自らのテクニックを完成させて下さい。 出来ない物を出来る様に支えて貰うと云うのは介護ですからね。




ロジックに従えばパドゥドゥは難しくない!


 サポートの付いたテクニックと云うのは、一人の時と少し違い、二人で一人の感覚が必要です。 例えばリフトでは男性は女性の下半身となり上半身である女性と共に全身を引き上げる感覚を持たねばなりません。 無闇に女性の身体を持ち上げるのでは無く“プリエ”から“ルレヴェ”する時と同じ様に二人(上半身と下半身)が協力して伸び上がるのです。 女性側も単に支えて貰うのではなく、骨盤と脚を通して床を押す様に骨盤から男性の腕と身体を通して床を押す感覚が無ければなりません。


 女性の腰や腕を支えての“フェッテ”等の時は男性の身体も女性の一部と考えて一緒にプレパラシオンの動作を行えば全ての力を無駄なく利用でき、女性側もスムースな導入で回転に入れます。 ロジックを無視すると女性が足掻く様にして脚を振り体幹を崩してしまいます。

 “プロムナード”等も上手に出来るダンサー達は少ないのですが、女性の脚と脇の位置を見て、その対角線上に女性の腕を張れる様にサポートして上げる事で女性が自らのポジションを正しく取り、もし崩れても立て直せる様になります。

 逆に考えれば女性が自ら脚と脇・腕を軸に対して対角線上に引き伸ばせればパートナーが頼りなくても“プロムナード”は何とかなります。



 この様にパドゥドゥにもロジックがあり、それに忠実に従う事で最短の時間でレベルを上げて行く事が可能になるのです。



 『技術は盗む物だ』とか言って後輩に指導しない、または出し惜しみする様なダンサーや指導者は実はロジックが確りと解っていないのではないかと思います。 ロジックを理解していれば他人がサポートしているのを見ているだけで問題点が見えて来るのですが、感覚だけでサポートしている人は見ただけでは問題点がよく解らないらしいのです。


 サポートの感覚を早く身に付ける為にも、見る目を養う為にもパドゥドゥのロジックを確りと学びたいですね。






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