足し算を理解しない者に掛け算を教える意味があるのか?


 バレエを踊るには基礎が大事とは言いますが、その基礎原理を理解して居ない者にテクニックを練習させる意味はあるのでしょうか?


 例えば『足し算、引き算が理解出来て居ない者に掛け算、割り算や分数計算の問題を解かせる意味があるのか?』と云う事と同じだと私は考えます。

 もし『3×3×2=18だよ、覚えて!』と云う様に沢山の計算式を丸暗記させたとしても、どうしてその計算が成り立つのかを理解しないままでは、知らない計算式や式の応用をしなければならない時に自分で答えが出す事が出来ません。

 日本での教育とは今までこの様な状態で行われていて基礎理論を理解していれば一目瞭然の事を丸暗記する事で適当に誤魔化しているのです。


 この様な丸暗記式のレッスンで育った指導者が次世代を正しく教育出来るのでしょうか?
 これは考えて頂きたいと思う所なのです。





足し算の知識が乏しいのに難しい計算に挑戦する事の愚かさ!


 またオープンクラスを受ける側の意識も問題です。 足し引き算レベルの事が理解出来て居ないのに掛け算以上のレベルのクラスを受講しても内容が理解出来なくて、何も身に付かないのは当然でしょうし、それを繰り返しても正しくは動ける様になる事など不可能です。


 掛け算、割り算を習得したければ足し算、引き算を完璧に理解する他なく、足し引き算の基本原理への理解が曖昧なら、どの様な算式を習っても全てが曖昧模糊として正確な答えなど絶対に出ません。


 『基本原理は理解していないけど難しい問題に挑戦してみたい、挑戦自体が楽しい』と云う様な主張は私も理解出来ます。


 でも、これは問題の難しさを理解して、それを解く為には何を学ばなければならないのかを考える入口としての行動であり、深く考えずに行動し間違った答えを出し続けていても楽しいと感じるのは幼児性の表れなのだと思います。



 どの様なテクニックだろうと基礎原理から外れては美しく動けません。 力で抑え込む様な動き方では素人目には出来ている様に見えますがクオリティが低く、そのやり方を他人に伝える事も出来ません。
 他人に伝えられないと云う事は、その方法論がまだ未完成、若しくは誤っていると云う事に他なりませんよね。
 多くのプロダンサーや指導者がこの様な独自理論で行動する事がバレエを学ぶ者達に如何に害悪になっているのかが大きな問題なのです。




理解する事が踊る事より大切!


 『ポワントで踊りたい』『パドゥドゥがやりたい!』等を夢見る事は大切です。 しかし、それを実現する為には基礎原理を理解する必要があります。

 テクニックが上手く出来なかったら、それは誤った認識で動いていると云う事で基本原理から外れていないかをもう一度確認し直して下さい。 その上で基礎の動きを確実に履行出来る様に反復練習が必要です。



 私は予め内容を細かく決めてレッスンしたりはしません。 それは生徒一人一人の理解度や身体の状態をみてから、どの様な訓練が生徒に必要なのかを判断してアンシェヌマンを組み始めるからです。 まあ即興ですね。 私の師匠のパトリック ヒンソン氏も同じ様に指導していました。


 オーダーメイドの様なレッスンなので受講する生徒のレベルによりアンシェヌマンが変わり、注意する事も一人一人異なって来るのです。 それだけじっくりと一人一人を見ていると云う事ですね。


 逆に指導力の低い人はレッスン前に念入りにアンシェヌマンを決めて、その通りにレッスンを進めようとするのですが、生徒の状態を無視したレッスンではレベルが下がるだけなのです。



 ですから、『取りあえず楽しく動く』ではなく、『正しく理解してから、その通りに動こうと訓練する』と云う事を心掛けてレッスンして欲しいと思います。


 こちらの方が非常に深い達成感が得られる事を保証しますから(^_-)-☆








 いよいよ今度の土曜日5月25日㈯に『めるもバレエスタジオ』で私の特別講習会が開催されます。 この機会に是非ご参加下さい。 遠方の方も会員登録の上でライブ配信にご参加頂けます。 今回も質問タイムがありますのでお楽しみに(^_-)-☆
 詳しくは下記のサイトから↓

https://ameblo.jp/hidecchi-1967/entry-12687291933.html


https://www.ballet-arts.jp/