体幹が歪んでいてもバランスは取れる!


 片脚で立っていられる様にと“パッセ”や“アティテュード”等でバランスを取る練習を皆がしていると思います。 練習の結果、バーを離して自立出来たらとても嬉しいとは思います。


 そんな所に水を差して申し訳ないのですが、“パッセ”で自立して安定的に立って居られても、それが正しく出来ていると云う訳では無いのです。

 何故なら骨盤や体幹が真っ直ぐでなくとも重心がつま先の真上に在れば片脚(ドゥミ)ポワントで安定的に立っている事は簡単に出来るからです。


 バランスが取れる条件と云うのは身体を揺らさずに重心位置を軸足の上に持って来るだけなので、骨盤の傾き等に合わせて体幹を歪める事で重心位置をコントロールして片脚でバランスが取れてしまうのです。


 ですからバランスを取る事しか考えずに練習していると、崩れたポジションの“パッセ”等を正しいと誤認する事になります。 実際にプロダンサーや指導者でも勘違いしている者が多数いる位ですから生徒が間違っていてもおかしくありません。


 しかし『体幹が歪んでいてもバランスは取れる』と云う事を認識した上で正しい形を守って練習を重ねる事が間違ったバランスの取り方を身に付けてしまわない為に大切なのです。





正しい形でのバランスの取り方は?


 『正しいポジションでバランスを取る為に気を付ける事は何か?』と問われたら、それは『左右の脇を骨盤から肩まで真っ直ぐに張り、左右の均衡を保つ事』と言えます。

 この条件を満たす為には骨盤だけが前後傾したり左右の高さが変わっては駄目です。


 “パッセ”で言えば股関節と膝関節の折り畳み方、体幹の保ち方は第5ポジションの“プリエ”の時と全く同じになります。 軸脚と骨盤の関係も第5ポジションに立っている時のままで変化しません。


 “アラセコンド”で脚を高く上げる場合は骨盤を傾けますが、左右の脇を均等に引き伸ばせば体幹も骨盤と同じ角度に傾いて、脚と体幹が軸の左右に張り出して重心の均衡が図れます。 この時の軸脚は垂直となり体幹、動脚の形と合わせて確りとしたY字となります。


 もし脇を縮めて脚を上げてバランスが取れたとしても、体幹が潰れていて上げた脚との均衡が取れず軸脚が傾きます。 これでは正しい形とは言えませんから、これはバレエの立ち方では無いのです。



 『バランスが悪くても頑張ってキープする事で筋力がつく!』とか体軸の事等考えずにとにかく『脚を上げろ!』と云う様な指導をするダンサーや指導者もいますが、この様な非科学的なレッスンをしていると筋肉太りを起こしたり、テクニックを力で抑え込む様な踊り方となってしまい優雅なバレエの踊りとは掛け離れた物と成り果てます。



 欧米人と日本人ダンサーの体型を比べた時に多くの日本人が見劣りしてしまうのはレッスンに向き合う姿勢が異なるからで、教本通りのレッスンをコツコツ重ねて居れば日本人も欧米人の様な身体へと育って行くので近視眼的なレッスンにならない様に気を付けて頑張りましょう。








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