引き伸ばしが出来ていないから温まらない!


 私はレッスンで正しい身体(筋肉、関節)の使い方を意識する為にアンシェヌマンは極力ゆっくりやらせるのですが、時々「こんなにゆっくりだと身体(筋肉)が温まらない!」と言って来るダンサーが居ます。

 しかし動きがゆっくりだと本当に筋肉は温まらないのでしょうか?



 正しい身体の使い方では大前提として『筋肉が最大限に引き伸ばされた状態のままで』と云うのがありますが、これには伸ばす力とそれを維持する持久力が必要で凄く大変なので、これだけでも筋肉は発熱します。 更にゆっくり動く時の方が身体を更に引き伸ばそうとする意識が強めに働き、より激しく発熱する筈なのです。

 重りを持ってウエイトトレーニングをする時もがむしゃらに早く動かすより筋肉の動きを感じながらゆっくりと動かした方が筋肉をより鍛えられるのと同じですね。



 反対に早く動かないと身体が温まらないと云う人は、筋肉を充分に引き伸ばさない状態で動いています。 ウエイトトレーニングで言えば重りを持たずに手ぶらでトレーニングのマネごとをしているだけなのです。 これでは身体が温まる筈もなく温まったと錯覚する為に身体を早く動かして汗をかこうとしているのです。 汗をかいていれば身体が温まったと思う人は多いのですが本当のウォームアップとはインナーマッスルを使って深部体温を上げる事なのです。

 でも、上記の様な動かし方ではインナーマッスルは使われないので深部体温が上がりませんし、それ以外の筋肉も大して温まる訳では無いので直ぐに体が冷えて効率が悪いのです。 それに早く動くのは疲れます。 疲れるのに思う様に温まらないから沢山動かなければならない、そして更に疲れるから、より引き伸ばす力を抜いてしまう、余計に温まらなくなると云う悪循環に陥ります。

 才能溢れる技巧派のダンサーでも、こう云うダンサーは多く居て如何に基礎を蔑ろにして感覚だけで動いているかがわかります。 まあそこまでウォームアップしていなくても踊れるのなら、その人にとって問題はありませんから良いのですが、こう云う事はその人だけの特殊な事情なので真似してはいけません。




 本当に上手に踊れる様になりたいのなら、常に筋肉を引き伸ばし続ける意識を途切れさせずに動く事を習慣付けて下さい。

 これが出来ればどんなにゆっくり動いていても身体はあっという間に温まり汗ばんで来る筈です。






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