作法から外れない様に!


 レッスンでとにかくグランワルツまでやりたがる人って結構多い気がします。 バーレッスンからセンターのグランワルツまで一通りのアンシェヌマンを踊って「良い運動して気持ち良い!」と云う感じなのかな?


 只の運動ならそれで良いと思いますがバレエの場合はちょっと勝手が違います。



 バレエは観客に美しい動き見せる事を追求する伝統芸能なので手足一つ動かすにも決められた作法(メソッド)があるのです。



 作法とは脚をアンドゥオールさせる事だったり、身体を引き伸ばす事だったり、手脚の屈伸の順序だったり連動だったりと沢山の作法があるのです。
 これらの作法が存在する事は『歌舞伎』や『能』『浄瑠璃』といった日本の伝統芸能でも全く同じ事ですよね。

 作法から外れた物は外道として評価されません。 ですから全ての伝統芸能では作法の継承に血道を上げるのです。




闇雲に動きたがる人はどんどん下手になる!


 バレエには作法があると言いましたが、バレエの作法は積み重なって行く物で『脚の筋肉を正しく伸ばせたら、その状態を維持したまま“アンドゥオール”を行い、次に今までの状態を維持したままで“プリエ”を行う』と云う様に重層的に積み重なって行きます。 と云う事は動きが組み合わされれば組み合わされる程、やらなければならない動作も積み重なって行き難易度が上がるのです。 これがバレエの基礎を身に付ける事を難しくしているのです。

 そして、もし途中の何かが抜けてしまうとその動きは作法から外れた物として外道な物と化してしまうのです。 ですからバレエの一番のベースである『脚(筋肉)を伸ばす“タンデュ”』と『脚を折り畳む“プリエ”』そして『脚の“アンドゥオール”』等はどんな事があっても動きの中から抜けては駄目なのです。



 と云う事は、レッスンの時に“プリエ”と“タンデュ”と“アンドゥオール”等の意識が継続出来ない段階の生徒では何を踊っても上手く踊れる様にはならないと云う事で、先ずはそれを訓練する事が大事になりますね。

 

 絶対にやらなければならない動き等を身に付けないままで、更に高いレベルの練習をすると云うのはいわば下手になる為の練習とでも言うべき物なので、一通りのアンシェヌマンを何が何でも全て行う様なクラスでは踊りのレベルはどんどん下がって行くと言えます。

 ですから『上手く出来ない』と判断したら、そこまでの動きを習熟するまで立ち止まって練習する事が最も頭の良い練習法なのです。

 ただ回れれば良い、脚が上がれば良い、気持ち良く動ければ良いと云うレッスンにならない様に気を付けたいですね。