オフバランスを習得する必要性!


 ヴァリアシオンを踊る時に一つ一つの“テクニック”を正確に行う事は大切です。 しかし個々の“テクニック”や“パ”の繋がりを無視して練習してはいけません。 多くのダンサーがこの事に気付かないまま踊りを練習している為に踊りが滑らかに繋がらずに力でねじ伏せる様な踊り方をしてしまっています。 その様な踊り方は動きをギクシャクさせたり、動きが緩慢になったり、大腿部を太くしてしまったり、動き出すと脚が内股になってしまう原因となっています。


 例えば『“ピルエット”は軸に真っ直ぐに立って居なければならない!』と思っていませんか? 『“アッサンブレ”や“ジェッテ”も同じ様に真っ直ぐに着地出来なければならない!』と思っていますよね。

 でもこれって次の“パ”に繋がる事を考慮に入れていない場合のみの話なのです。 勿論基礎練習として『真っ直ぐに立つ、着地する』はとても大切ですが、踊りって“パ”やテクニック単体を見せる物では無く必ず他の“パ”等に繋がって行くので、連続した動きとしての全体のバランスと云う物を考えなければならないのです。

 そうすると必ずしも真っ直ぐに立たなければならない訳でも無く、着地もバランスが取れなければならない訳でも無いのです。 所謂(いわゆる)“オフバランス”と云う奴ですね。 “オフバランス”を上手くコントロールする事で通常では間に合わない様なテンポの音や組み合わせ難い“パ”同士を上手く噛み合わせられたりするのです。



 まあ、この様な事は踊りの応用編に相当する事なので基礎がある程度出来上がってからの話ですが、ヴァリアシオンを教えるのが難しいのは、この様なバランスの取り方に対する理解が深くないと駄目だからなのです。 自分で出来ない(出来なかった)事は教えられません。 やはりプロバレエ団でのソロを踊れるだけの経験とそれを分析して説明できる論理的な頭脳を持つ事が指導者として必須だと思います。

 ですから現役で踊っているダンサー達は今から確りと学んで将来の事を考えて踊って欲しいのです。
 一人一人が未来のバレエ界を背負っているのですから(^_-)-☆