床を押すとは床と反発し合う事!


 “アテール”や“ポワント”では「床を押して!」と指示される事が多いのですが、基礎で言っている「押して」とは床を踏みしめる事ではありません。


 地球上ではどんな物にも重力が働いていて、そのままでは空中に浮かぶ事はありません。 それどころか全ての物は重力の働きで地面に押し付けられ押し潰されて水平方向に広がろうとします。

 重力により身体が水平方向に押し潰されそうになる事に対抗して垂直方向へと身体を引き伸ばす行為が“引き上げ”で、身体と床の接する箇所がつま先から踵までの足裏なので足が地面と反発し合う様に働かなければ“引き上げ”が出来ません。 足と地面の反発力が強ければ強い程“引き上げ”も強くなります。 逆も然りで“引き上げ”が強ければ強い程、足と地面の反発力も強くなります。

 だから“引き上げ”と“床を押す”は同じ事なのです。 これらを別々に考えたりコントロールする事など無意味であり思考力の浪費にしかなりません。


 “ポワント”や“アテール”での床を押すとは身体を引き伸ばす事であり「床を押している」と感じているのは錯覚なのかも知れません。

 だって床を押した所で体重が増える訳でも無いですし、床に掛かる荷重は身体の高さを上げる時のエネルギー分だけなのですから、大した事は無いのです。 でも、その大した事は無いエネルギーでも身体を引き伸ばす長さが長くなる程大きくなるのですから「床を押して!」と注意されるのは身体が充分に引き上がっていないからです。 でも錯覚だとしても身体がその様に感じる事が正しい“引き上げ”の目安になるのなら良いですよね。


 足裏を床に張り付ける、床を掴む等とよく言いますが、これも「床を押す」感覚を感じるのに重要です。 床を掴めると床との接地面への意識が鋭敏になり「押した!」が感じやすいのです。 逆の場合は「押す」感覚が弱い為に、無理にそれを感じようとして余計な力を使ってしまい勝ちになります。 余計な力を使うと身体が縮み“引き上げ”や「床を押す」の反対になってしまうので駄目なのです。



 「床を押す!」は床を押すと考えるのでは無く床との接地面を意識して身体を出来るだけ引き伸ばす事を心掛けてみましょう。 きっと大きな変化が身体の中に現れると思います。