このブログではバレエについて色々と解説していますが、ブログでは、どうしても伝えられない、そしてバレエを踊るのに避けて通れない事があります





 それは音楽性です!





 バレエとは切っても切れないのが音楽との関わりで、例え無音で踊る振付けの時にでもダンサーの身体の中には自らが奏でる音楽が鳴り響いており、それに身を任せる様に踊る事で観客にもダンサーの奏でる音楽が伝わる事となります。



 「完璧な踊りの筈なのに面白くない!」とか逆に「基礎が出来ていないのに何故か踊りに惹き込まれる!」といった事が起きるのは、ダンサーの音楽性の有無、言い換えるならダンサーの情熱が表現されているか否かと云う事が観客にも伝わっているからなのです。

 どんなに正確無比に踊っても音楽との一体感の無い踊りは単なる体操で踊りと呼べる物ではありません。 また基礎が出来ていないのに惹きつけられる様な踊りとは動きで音楽を表現している踊りなので、そこに自然と感情が上乗せされます。 その様なダンサーが基礎を身に付けたら更に素晴らしい踊りが出来るでしょうから、どちらのタイプのダンサーも足りない部分をもっと学んで欲しいですね。

 因みにどの様な音楽も表現の手段として作曲されているのでテーマがあり語られる内容があるので決してBGMの様に漠然と聞き流すのではなく曲の表す内容を汲み取ろうとする努力を欠かしてはいけません。





 では音楽性を磨くにはどうしたら良いのでしょうか?
 先ずは音楽をよく聞いて知る事から始めましょう。 殆どのダンサーは音楽をBGMの様に聞き流して踊っていますが、バレエとは『見る音楽』ですので音楽を受動的に聞いて動くのでは無く、自らが演奏するかの様に主体的に踊らなければ駄目なのです。



 本当に音楽性のあるダンサーは身体で演奏しています。 つまり、自らの身体が楽器となり音楽を演奏しているかの様に動き、それを観客にも伝えられるダンサーが真の音楽性を持っているのです。
 例えば音楽性のあるダンサーは脚を動かす時に足先でピアノの鍵盤を弾く(はじく)様な感覚でメロディを奏でる事を意識しています。 ピアノを弾く(ひく)時も音楽の強弱を付ける為に鍵盤を弾く(はじく)強さなどを調節していますが、バレエでも足先で鍵盤を弾く(はじく)様にアクセントの強弱を付ける事で音楽性が生まれます。 これは何も足先に限った話では無く指先や頭など全身を使って音楽を演奏(表現)する事で表現の幅が飛躍的に広がります。
 音楽を演奏するかの様に踊れないのに頭や腕を使って無理矢理に表現しようとすると観客には伝わらない自己満足な踊りに堕してしまうので気を付けたいですね。




 表現力、音楽性と云う物はダンサー個人の感性と云った漠然とした物では無く、実は厳然とした理論に裏打ちされた基礎の上に成り立っていると云う事が解ります。 理論を理解し技術を身に付ければ表現力も音楽性も共に上がって行くので、もっと音楽を知る努力をしましょう。