●ポイント
・相手の疑問を予想して、答えていくように、相手に伝える
わかりやすい文章とは、どんな文章だろうか。それは「①読み手の予想を裏切らず、②出てくるだろう疑問に、きちんと答えていく」文章だと思っている。
①読み手の予想を裏切らない
前半部分の「読み手の予想を裏切らない」とは、どういうことだろうか。以下の例文を見て欲しい。
あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。ある日、おじいさんは山に柴刈りに行き、息子のショーンはHMVで赤西仁のCDを買いに行きました。
これを見て「なんて読みにくいんだろう」と思わなかっただろうか。多くの読み手は、最初の文で「おじいちゃんとおばあちゃんが居たんだな、ふんふん」と思い浮かべる。そして次に、「おじいさんは~」とくれば、『おばあさんは~』と、予想するだろう。ところが、おばあさんではなく、息子の話を出してしまった。
このように、読み手の予想を裏切ってしまうとなると、一気に読み手のペースは落ちるし、理解力を駆使しなければならないので、疲れて続きを読みたくなくなる。なので、読みやすい文章にしたければ、「この文を書くと、相手は次に何を予想するか」を考えながら、それを裏切らないように、書かなければならない。
②出てくるだろう疑問に、きちんと答えていく
次に、説明部分の後半である「出てくるであろう疑問に、きちんと答える」とは、どういうことであろうか。
例えば、先日書いた「光と時間」というエントリーに、私は以下の文章を書いた。
現時点の情報を含んだタキオンを送り出すことで、未来の情報に到達することができ(しかしそれは、現時点からの光速延長線上の空間よりも過去の時点)、そこからもう一度タキオンを送り返すと、現時点より過去に情報を送り飛ばすことができる。
これは完全な、駄目文章だ。なぜならこれは、相手に疑問が浮かんでいるだろうのに、無視して書いたからだ。(その理由は、タイムトラベルのメカニズムをミンコフスキー平面というのを理解して書いたのだが、全てを説明するのが面倒だったからという理由と、私もあんまり理解してないので、なんとなくもっともらしく書いたからだ。)
この混乱が起こる原因は2つある。本人の中で、勝手に「誰もが知っている」と思い込んで、文脈が飛んでいるのにもかかわらず、突き進むパターン。そしてもっとタチが悪い2つ目の理由は、本人も実は理解しておらず、なんとなく専門用語を使って、もっともらしく振る舞う場合だ。知らないことは恥ずかしいという人間心理があるので、格好つけたいのだろうが、読み手には混乱しか与えない。
これを防ぐには、相手に伝えるときは、まずは自分自身が十分に理解して、疑問が出そうなところは「なぜなら~」とか「~なので」と、説明する必要がある。必要というか、義務だ。
これら2つは、読み手のことを考えれば、当然のマナーである。自分の考えを相手に理解して欲しいならば、相手のことを考えて配慮を施さなければ、誰も理解なんてしてくれないだろう。わかりやすい人の文章とは、まさに相手のことを考えた、サービス満点の文章なのだ。
※なおこれは、「文章」の部分を「会話」に、「読み」を「聞き」に、「書く」を「話す」に、置き換えても、全く差し支えない。
