★お母さんに遺留分減殺請求なんかするな! 自筆遺言書のだいご味 | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。

★「妻に全財産」を実現させるもう一つの方法⁈ 自筆遺言で親の気持ちを真っ向から伝える
http://yuigonsouzoku.net/the-power-of-autograph-testament
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私たちのような庶民にとって、老後を夫婦二人で過ごすというのは・・・・・
実感を言えば、そんなに悪いものではない。
二人でいられる限りは、けっこう「今が一番幸せ」とさえいえるかもしれない。



しかし二人でいるというのは、いつか一人になるということでもある。
そこからは『厳しいだろうな』と思う・・・・。
男の場合、寂しいということが大きいのだろうが、
妻が一人残ることを考えるとつらい気持ちになる。



精神は大丈夫と思うが、『経済的な意味で言えばどうなんだろう』、真剣に計算しなければ。
そんな風に考えてくると、私が先だった時の相続で
『妻が得る資産が法定相続分(1/2)で本当に大丈夫か?』
と思えてくる。
何しろ、男が先に死んだとき、2次相続までには平均で16.5年もあるというのだから。



この点を見越してのことかどうか、相続税法も妻に味方していている。「配偶者の税額軽減の特例」だ。1憶6000万円までは無条件で配偶者に相続税は掛からない。
この法律のおかげで、1次相続では財産全額を配偶者が相続することでまとまることが多い。



ところが時には、子が「お母さん」に向かって遺留分減殺請求をする場合もある。財産が有り余る家庭のいざこざだろうと思うと、そうでもないらしい。
こういう例は、相続税を払う必要がない家庭で起きることが9割、訴額は100万円にも満たない例が多い(司法統計)。



こういう実態を踏まえて私は前回、子から母親への遺留分減殺請求を封じる”秘策”を紹介したのだった。
今回は秘策ではなく、ごくごくオーソドックスな手法について書いてみた。
これも自筆の遺言を使う。



まったく「策」というものはない。
正直に親としての自分の気持ちを述べ、子らに理解を求める文面だ。
「遺言書」というより、男親から子に訴える最後のメッセージと言った方がよさそうな趣だ。



普通の家族関係なら、子どもたちはこれで十分分かってくれると思う。
遺言に書いたからと言って、子に訴える部分は民法の条文に則っているわけではない。
法的な拘束力はない。
ただの「お願い」「希望の表明」ということになり、子は無視しようと思えばできる。



それでも私は、自筆遺言のこういう使い方こそが「(相続人たちに)遺す言葉」のだいご味なのだと思っている。