★川根路で銘茶を味わう、純朴な気風と活性化両立の難しさ…… | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。

まちづくりとか、地域おこしについて考えている。
何も難しい話ではない。
なぜかわからないけれど「懐かしい」「好きだな」と感じる土地がある。
そういう地を大事にしたい、そして今より少しは豊かになってもらいたい、
いや、観光振興してお金をどんどん落としてということではない。
単純に「こんなにいい所なんだぜ」と人にいいたくなるような“豊かさ”のこと。


昨日、友達に誘ってもらい静岡市から山越えで川根本町に出かけた。
大井川に沿ってある川根路は好きな地域である。
桜咲く春、紅葉の晩秋が“シーズン”といわれるが、そういう季節に訪れたことがない。
行くのは決まって、何もないふつうの頃だ。
だが、その方がしっくり来る。


昨日は平日だから人も閑散。
SLの終点、千頭駅から山を少し下って道の駅「フォーレなかかわね茶銘館」を訪ねた。
道の下にあるので少しわかりにくい。
川根はしばらく前までは川根・中川根・本川根の3町があった。
いずれも茶の産地、しかも大井川の川霧に育てられた高級茶を産出する。

ジャーナリスト 石川秀樹


道の駅「茶銘館」の名物は無論、お茶である。
上がった座敷で、マイスターにお茶の入れ方を教わった。
和紙を貼ったきれいな缶に川根の新茶が5グラム。
一煎目、茶碗に熱い湯を入れ湯冷ましに移して適温まで冷ます。
手で持てるくらいなったら茶葉の入った急須に入れて、40秒待つ。
頃合いをみて茶碗に注ぐ。
ぬるくなったお茶はまろやかで、旨味(うまみ)が出て甘い。
茶葉は深緑だが、茶碗のお茶色は薄い。
薄いが味はしっかりある


二煎目、今度は湯冷まし、急須の過程をササッと済まして茶碗に。
色はほどよく乗り香り高く、味は本来の新茶らしいさわやかさだ。
三煎目、冷まさず直接急須に湯を注ぎ、お好みで時間を計って煮出す。
苦みが出てきて、また別の口当たりを味わえる。
欲深な僕は、四煎目も五煎目もいただいた。
味が落ちず、十分に楽しめる。


写真中央にあるのは「匂い袋」で、茶葉を乾かし地元の人が包んだ。
茶を喫した記念として持ち帰ってもらう趣向(缶は不可)。
ほのかに茶の香りがし、雑物のにおい消しにもなる。
約30分、お茶を堪能し豊かな時間を過ごし、300円であった。


茶銘館のメインの建物では、やはりこの地の名物であるオリジナル紅茶も味わえる。
影絵作家の藤城清治の作品展も催していた。
川根の伝統芸能「鹿ン舞(しかんまい)」をテーマにした絵もある。
幻想的でほのぼのとし、あたたかい。
広い敷地にゆったりとした館。
平日なので訪れる人は少ない。
軽食でも運営すれば人はドッと訪れそうだが、そういうガツガツした気風に染まりそうもない。


茶銘館に限らず、深川根路から感じるものは寡欲(かよく)である。
そのままであって欲しくもあるし、もっとビジネスの視点をとも思う。
ぜいたくな時間を味わったのにこんなことをいうのは、贔屓(ひいき)の引き倒しになるのであろうか。
純朴な町の個性と「活性化」という利を求める掛け声と。
『なるほど、町づくり、地域おこしは難しい』と思いながら、川沿いの道を下った。


ジャーナリスト 石川秀樹


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【筆者から】
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主にFacebookページ「ジャーナリスト 石川秀樹」に投稿しています。
ミーツ出版(株)という小さな出版社の社長をしています。61歳で行政書士の資格を取り開業しました。さらにこの数年は「ソーシャルメディアを愛する者」としてFacebookで熱く語り続けています。ブログは私の発言のごく一部です。ぜひFacebookページもご覧ください。コメントをいただけたら、こんなにうれしいことはありません。


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