★「教室内(スクール)カースト」という言葉 | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。



「Facebookの本を書いていて思うんだけど、今の日本、どうしてこう“損得”ばかりになっちゃったんだろうね」
車中の家内「……??」
「なんでもかんでも勝たなきゃ損だ、みたいな話。まことに卑しい」
「そうかと思えば、大の大人が“空気”におびえて神経をピリピリさせて、書きたいことも書けないなんて。取引先に見られていたら具合が悪い、上司が見てると思うと憂うつだなんて」
「なーに、いじめのことをいってるの?」
「日本は変てこな気兼ね社会になっちゃっている、ってこと」
「そういえばきょう、新聞に『教室内(スクール)カースト』ってあったわね」


そこから急に妻の反応がよくなった。
助手席で、彼女は怒っているのである。
「教室内(スクール)カーストなんて。書いた人は本を売りたいから付けたんでしょうけど、子どものことなんて少しも考えていないわね」
ここ数年、「格差社会」などという言葉が生まれ、状況はいっそう悪くなった。
そのずっと前には「荒れる教室」「学級崩壊」があり、それ以前には「積み木くずし」などという言葉があった。
事象があって、誰か知恵者がいてその事象にネーミングする。
言葉が的を射ていればまずマスメディアが飛びつき、さまざま話題として取り上げるので一気に「言葉」は浸透していく。


浸透してどうなるか。
事態は確実に悪化する。
なんとかしよう、より、日本では「認知された」みたいな錯覚が当事者及び当事者予備軍に蔓延して、子どもたちはわけもなく追随して、行き着くところまでいってしまう。

ジャーナリスト 石川秀樹


「教室内(スクール)カースト」
意味を説明されなくても状況が分かる。
それだけ「言葉」としてはインパクトがあるのだろう。


イケメン、フツメン、キモメンだそうだ。
今の教室では“顔”でも階級ができる。
親の財力や学歴、会社歴でも差ができていく。
教師も“上位階層”には黙ってこびへつらうそうな。
そういうばかばかしい図式が見えるから、妻は怒るのである。
健全な怒りだと思う。
正義感といいたてるほどのものではないが、大人の良識である。


大の大人が良識をなくしているから、こんなおばかな言葉が生まれ、もてはやされるのだ。
この光文社新書、早くも8万部突破だそうだ。
この本をまだ読んでいないから、中身を批判しているのではない。
筆者が付けたタイトルであるのかどうかも知らない。
利口な担当編集が思いついたのかもしれないし、子供たちの世界ではとっくにいい回されている言葉かもしれない。
しかし、一つの言葉の普及によってカーストはより顕在化し、かつ深化するだろう。
事実があることが当たり前に認識されることで、事態の悪化に加速度がつく。


実につまらない。
顔の美醜や脚の長さで勝ち負けが決まるのか。
親が貧しければ負けなのか。
かつて貧しい日本では、貧から立ち上がり一家をなした者がたたえられた。
刻苦勉励、努力する者が認められた。
60数年生きてきて、美しい人、ハンサムすぎる男は損をするとつくづく思う。
本当の才があっても才として認められないからだ。
ましてや親の優劣など、うっとうしいだけだ。
財ある親の子に生まれた者は宝くじに当たったようなもので、何をやっても「運」としか見られず、張り合いがない。


カーストがなんだというのだ。
そんな発想はクソである。
(うす汚い言葉に汚い言葉で返して申し訳ないが)


いつのまにか学校社会にカーストが蔓延しているとすれば、それはすべて大人社会の稚拙で、いっそう残酷なコピーに違いない。
ワァーワァーうろたえ騒ぐより、浮利に踊らず“まっとう”をばかにしない、大人たる毅然とした立ち居振る舞いを子どもに見せなければならない。


生来の階層なんざぁ、チャンチャラおかしい。




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【筆者から】
このブログの元になっているのはFacebookへの書き込みです。
主にFacebookページ「ジャーナリスト 石川秀樹」に投稿しています。
ミーツ出版(株)という小さな出版社の社長をしています。61歳で行政書士の資格を取り開業しました。さらにこの数年は「ソーシャルメディアを愛する者」としてFacebookで熱く語り続けています。ブログは私の発言のごく一部です。ぜひFacebookページもご覧ください。コメントをいただけたら、こんなにうれしいことはありません。


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