僕の2周り近い若い友人、鈴木弘朗さんの事業が日経新聞朝刊地方版トップで紹介された。
彼が営むのは「鈴木商店」。ネジ屋さんだ。
素人目にはネジの卸をしているといるということ以外、わからない。
ネジの需要がどこで発生し、どんな業界に流れていくものか。
いま一つわからないままだったが、さすがに日経新聞はコンパクトに本質をつかんで書いてくれる。
ニュースになったのは「さびにくい鉄製ネジ」である。
商品名「ロングッド」。
ロング(長持ちして)でグッド(よい)を掛けた命名だろうか。ここは僕の勝手な想像だ。
それがどれほどすごいものか。
「さびにくい」といえば、今まではステンレスのネジだった。
だが高い。
そこで生産委託先と共同で、炭素配合して強度を上げた鉄に特殊な表面処理を施したネジを開発した。
同程度のさびにくさをもつステンレス製の3割安。
傷がついても、処理に使った亜鉛、ニッケル、クロム同士が反応して表面を覆うため、さびが発生しにくい。
なるほど、画期的だ。
彼は“走る男”である。
きのうもFacebookで「1日24時間では足りません!」といっていた。
営業に施設整備にと忙しく飛び回っている。
彼を知ったのは「山田経営維新塾」でご一緒させてもらったからだ。
1年を通して経営のことを学ぶ。
塾の理念は「共に学び、共に進化し、維新を起こす」だ。
勉強もだが、人間力が試される塾である。
僕もこの10カ月共に学び、やはり変わった。
その塾に、彼は夫人と共に参加している。
ふたりともなんといったらいいのだろう、僕のようなガサツな人間が到底及ばないような「純真さ」をもっている。
大の大人に「純真」もないものだが、そうとしかいいようのない汚れのなさ、一途さ、真剣さ、人や自然への温かさをもっているのである。
はじめふたりに接したとき、これは長所というよりも、ビジネスをしていくには弱点にもなるのではと、いらぬ心配をした。
やはりそれは俗人の思いあがった見方であり、ふたりはその域をはるかに超えていた。
昨年10月、彼らは塾の仲間3人と共に「100キロウォーク」に参加した。
結果をいえば彼は完歩、夫人は71キロ地点で足の豆が破れリタイアした。
他の同士2人も完歩した。
このウォークはふたりのみならず、同志たちには大きな刺激になった。
彼は途中、息も絶え絶えの様子だったのである。
しかし、妻の無念、社員の思い、一緒に歩いている同志の思い、沿道の声援などなどを背負い、背負ったがゆえに歩き切ったのである。
「責任感」といえば言葉が軽くなる。
彼は人の思いがわかる人間である。
さて、喜んでばかりもいられない。
新聞に載ったということは、大きな影響力をもつ。
ありがたい、うれしいことではあるが、「注目を受ける」ことは危険でもある。
競合他社は目の色を変えるだろう。
彼は強い意思の持ち主だ。
百も承知で駆け抜けるだろう。
「勝負の年になる」といっていた。
言葉通りの年になりそうだ。
評判は一過性のものである。
やがて人々は忘れる。
しかし、中に1人や2人、強く印象に残す人もいてくれる。
そこで何かがつながれば、また新しい展開が生れていくかもしれない。
僕がここでこうして書いているのも、そのためだ。
Facebookは新聞ほどの拡散効果をもたない。
しかし、人の心に思いを伝えるなら、十分すぎるほどのツールである。
この友に僕はなんの手助けもできないが、彼や夫人(専務さんである)の人物を保証することはできる。
ふたりはかけがえのない僕の友である。
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【筆者から】
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ミーツ出版(株)という小さな出版社の社長をしています。61歳で行政書士の資格を取り開業しました。さらにこの数年は「ソーシャルメディアを愛する者」としてFacebookで熱く語り続けています。ブログは私の発言のごく一部です。ぜひFacebookページもご覧ください。コメントをいただたら、こんなにうれしいことはありません。

