ただ今、帰宅。
2.5キロの道を20分の超速足で帰って来たので、体中から汗が噴き出ています。
息せき切って駆け戻ったのは、聞いてほしい話があったから。
僕が通っている経営塾で、談たまたま「体罰」「いじめ」の話がはじまったのでした。
■ □ ■
例の大阪・桜宮高校の体罰事件――
「石川さんが親ならどうしました?」と聞く人がいたから、
「顧問を100発くらいぶん殴るでしょうな」と答えました。
子供がされたことと同じことを教師に返さなければ。
殴打する者は、殴られる者の気持ちは一生わからない。
だから話をするなら、痛みを知らせた上でなければ通じるものがない。
こんな話をしていると塾長の山田 壽雄さんが、有名な野球選手Oさんの息子さんのエピソードを話してくれました。
「有名人の子どもは必ずいじめに遭うんだね。Oさんの息子Fさんも中学、高校でいじめに遭った。身長180㌢超、護身用にと、少林寺拳法を子どものころから習っていた人が、指1本動かさないでボコボコにされてしまう。あまりの仕打ちに、ある日とうとう、母親に『自殺したい』と打ち明けた。するとお母さんは『お前が死ぬなら私も一緒に死んであげる』といったそうだ」
心に響く話である。
話には続きがあって
「その話を後で妻から聞いたOさんは、息子とふたりきりになったときに聞いた。『お前、なぜやり返さなかった?』Fさんの答は、『そんなことをすれば、お父さんを困らせるでしょう』」
父は有名人、自分暴力沙汰はかっこうのマスコミの餌食となり「お父さんがたたかれる」。
この親にしてこの子ありという話。
しかし、僕がFさんなら違う答を出した。
相手に勝てる力をもっているのだ、ごく初期の段階でたたきのめして、いじめの根を絶ったと思う。
それくらいのことしなければ、溜飲が下がりゃアしません。
この話を聴いた塾生のひとりが、小学生時代の体験を話し始めました。
「十数人に囲まれて後ろ手に縛られ、ロッカーに入れられて、階段を4階から1階まで転げ落とされた。体中、血だらけですよ」
いじめはエスカレートする。
「素っ裸にされて脚を持たれて股を開かれて、肛門にボールペンを突っ込まれたことも……」
そんないじめが毎日続く。
自分がその子の親だったらどうしただろうか。
そのとき、唯一の女性塾生がこういうのです。
「私がその子たちをつかまえて、同じこと、してやります」
なるほど、僕と同じだ!!
しかし被害者の塾生は、自分でこの苦境を打開した。
首謀者と目される子が、ある日また絡んできた。
『きょうは好きにさせてたまるか』と思い切り蹴り上げたら、たまたま当たった。
その子がひっくり返り自分は馬乗りに。
チャンスとばかり顔をめがけて、拳をふるった。
それはもう、自分の手の皮が裂けて血だらけになるまで、何度も何度も。
「ごめんなさい、もうしません」と謝るまで殴り続けたそうだ。
この話を聴いていた塾長は、「暴力を暴力で返すことは本当の解決につながるのか?」とおっしゃる。
尊敬する心の師の言葉も引き合いに出された。
「男子はいじめられてはならないのです」
この言葉にも確かに、一理ありましょう。
でも僕はこう思うんですな。
暴力に暴力をもって返さなかった例なら、ガンジー氏の例がある。イギリスの植民地支配に対して「非暴力」をもって戦った。この戦い、多大な犠牲を生みながらも最後は勝利をおさめます。それはインドの民衆が度重なる屈辱に屈せず、あきらめず、戦いを続ける意思を微動だにさせなかったからだ。
そんな“闘争”を今の日本に当てはめてみましょうか。
件の塾生はいいました。
「僕が大勢に殴られ蹴られ、階段から落とされるのを見ていながら、クラスの誰ひとり、助けてはくれなかった。『やめろ』とはいってくれなかった」と。
桜宮高校ではどうでしょう。
全国大会に勝つ強豪の部活だから? 誤った教師のやり方を誰ひとりとして止めなかった。
ひとりの生徒の死より「今まで通り入学試験をやってほしい」と在校生が懇願した。
暴力に屈しない、理不尽は断断固として認めないという、正義の精神がどこにありましょう。
今のこの国は、ひとたび火の粉をかぶったら、自ら火消しに走らなければ火だるまになる危険が常にあります。
子どもに「いじめ」を禁じる?
大人社会でパワハラだのセクハラだの、追い出し部屋だの、いじめがやまない中で、どうして子どものいじめがやみますか。
この話、結局どこに落としどころもなく、いったまま、聞いたままにはなりましたが、心に深く刻まれた議論でありました。
………………………………………………………………………………………………
【筆者から】
このブログの元になっているのはFacebookへの書き込みです。
主にFacebookページ「ジャーナリスト 石川秀樹」に投稿しています。
ミーツ出版(株)という小さな出版社の社長をしています。61歳で行政書士の資格を取り開業しました。さらにこの数年は「ソーシャルメディアを愛する者」としてFacebookで熱く語り続けています。ブログは私の発言のごく一部です。ぜひFacebookページもご覧ください。コメントをいただたら、こんなにうれしいことはありません。

