★疾走する異端、樋渡武雄市長「市職員給与と市税をリンク」 | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。

疾走する異端、樋渡啓祐佐賀県武雄市長がまた戦おうとしている。
けさの日経新聞第2社会面が以下のように伝えた。


「市職員給与、税収と連動 14年度導入を検討」


「検討」だから、これから先陣を切るという話だ。
今までは武雄市も他の大半の市町村と同様に、人事院勧告や県人事委員会の勧告に準拠して職員の基本給を決めてきた。
新しい制度では、とりあえず初年度は基本給の50%の部分に税収の増減を反映させる。
公務員の給与は号俸給であり、職員を7等級に分類している。その秩序を崩すわけではなく、勧告を聴いたうえで、市税の勢い(つまりは市民経済の勢い)を加味した給与にしようというのである。

hidekidos かく語り記


さて、この改革にも「反対論」はごうごうと巻き起こってきそうだ。
人事院、県、条例で行うだろうから市議会、おひざ元の市職員などなど。
一見関係なさそうな市経済界からも、もしかすると反対の火の手は上がるかもしれない。


市長のことだから、とうにFacebookで発言しているのではないかと樋渡さんのタイムラインをザッとさかのぼってみた。
1月6日、こんな記述を見つけた。


「年俸制公務員制度で組織に揺らぎ、そして、今度は新しい給与制度で組織と地域社会としっかりリンクさせ、並行して、組合の在り方に問題を提起します。今年は、図書館や自治体通販制度に並行して、公務員の本丸のこういった制度に風穴を開け、もっと、公務員のみんなが良い意味で働きやすい環境を作り上げます」


なるほど、市長の頭の中には先に「年俸制の公務員」という構想がある。
その先に給与改革だ。
「年俸制」そのものも物議をかもしているが、地味に見えるけれども「市税と職員給与のリンク」は年俸制以上に、全国の自治体にショックを与える改革になるだろう。
今までは市町村の経済がどうであろうと、国家公務員給与だけをにらんで給与を決めてきた。
自治はないが、“絶対的な”安定感と、一種のお墨付きがあった。
市税にリンクさせるとなれば、不況なら給料が下がるし、活況となれば職員の懐も膨らむ。
自治体職員も、わが身のことだから真剣にならざるを得ない。
これぞ地方自治だ。


「地方自治」に対して、建前は賛成、本音は「許すまじ」が東京にいる中央官僚のスタンスである。
樋渡さんは元々は総務庁(現総務省)の職員。
古巣が何をいってくるかは100%お見通しだろう。
想定問答もきっちりできているに違いない。


形骸化している地方自治に、風穴を開けてもらいたい。
全国のみなさんも、地味で堅苦しい地方自治のテーマだが、一撃の持つ意味はとても大きい武雄市の挑戦を、興味をもって見守ってほしい。
地方から変わっていかなければ、この国の未来はないように思えるのだ。


(写真は樋渡市長のFacebookタイムラインから拝借した)



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【筆者から】
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ミーツ出版(株)という小さな出版社の社長をしています。61歳で行政書士の資格を取り開業しました。さらにこの数年は「ソーシャルメディアを愛する者」としてFacebookで熱く語り続けています。ブログは私の発言のごく一部です。ぜひFacebookページもご覧ください。コメントをいただたら、こんなにうれしいことはありません。


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