★紫陽花革命をなめるな! 「意見聴取会に電力社員」懲りない体質を嗤う | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。

おとといから新聞、テレビ、ネットを騒がせている「やらせ」事件。
あまりにばかばかしいので『書くのはやめよう』と思っていたが、
きのう昼ニュースで、政府関係者が言い訳の前置きとして
「個人の意見を全部止めるのもどうかと思うが…云々」
と言わずもがなの言葉を発したので、堪忍袋の緒が切れた。


16日に名古屋市で行われた政府主催のエネルギー政策に関する意見聴取会に、
発言者の1人として中部電力の課長級職員が混じっていた。
意見発表の際、彼は身分を名乗ったし、
発表者は希望者の中から無作為抽出で選ばれている(政府の言を信じれば)。
単に「機会の公平さ」を言うならその条件はクリアされており
「やらせ」という言葉は一方的すぎるようにも思える……。
しかし、そんな風に言いぬけようとするから、「エリートばかだ」と言うのである。


昨今、脱原発、再稼働反対の実際行動が徐々に広がりを見せている。
この意味がわかるだろうか。
毎週金曜日夕、首相官邸を囲む人たち、最近は数万人の規模となる。
「自然発生的に」ではない。
ツイッターでは「#(ハッシュタグ)紫陽花革命」と言っている。
呼びかけ人も普通の人、参集するのも無論、普通の人々だ。
きのうの代々木公園での「さよなら原発集会」には17万人(主催者発表)。
さらに7月29日には「国会を囲む集会」が計画されている。
強気の読みでは「100万人集会」になる見込みという。
空前の盛り上がりだ!!
と言いたいところだが、まだまだだ。
「全国民」から見れば、本来の国民エネルギーの数十分の一にすぎない。
国民の怒りのエネルギーはまだまだ眠っているのだ。


hidekidos かく語り記-17万人集会


それをいいことに、「なめたらいかんぜよ!!」
確かに、銀座に行けば、渋谷に行けば、新宿に行けば、
この数倍の群衆が歩行者天国を楽しんでいるかもしれない。
わざわざ首相官邸や代々木公園に行く人はほんの一部だ。
だが、歩行者天国の人と代々木公園の人に同じ質問をぶつけてみるがいい。
「原発再稼働に賛成ですか?」
ほぼ全員が「ノー」と言う官邸前。
では新宿では?全員が無関心!?
とんでもない!!休日に笑いさんざめく新宿の人は半数以上が「ノー」と言うだろう。
これが「紫陽花革命だ」


今までのどの運動とも違う。
みんな、放射能は真っ平だと思っている。
これは100%、正真正銘の全員と言っていい。
後は「安全」を信じるかどうか、その信じる度合いの差が賛否を分けているだけだ。


今は原発賛成派は歩が悪い。
事故が起きてしまったから?
それも大きいが、もっと悪いのは、原発にはウソが多すぎるからだ。
昔の話どころか、あの震災後もずっとウソばかりだった。


原発公聴会のやらせが発覚したのは昨年のことである。
次から次へと、ウソの連鎖
全国各地で。長野で、北海道で、福島で、そして長崎で…。
原発賛成派をカネで吊るか、「仕事」の発注(または停止)をチラつかせるか、
とにかく比較優位にある者がその立場を利用して、比較下位の者に原発の必要性を訴えさせた。
茶番劇?言うもおぞましいが、粉飾公聴会がいかにも澄ました顔で行われてきた。
パターンはみな同じだった。
札びらで頬っぺたを叩いて立地してきたのと、寸分違わぬ卑しい手法。
それでも懲りずに、また今度……。
原発を推進したい面々はどこまで鉄面皮であることか。


3.11。地震で福島第一原発が壊滅した。
津波で、ではない。
わずか震度5や6の(普通に)激しい地震で、原発は機能を失ったのだ!!
放射能が大量に対は宙に垂れ流された。海へも無論、汚染水が流された。
その結果、福島県を中心に多くの人々が家と土地を捨てさせられた。
ひどい話だ。理不尽ではらわたが煮えくりかえる。
それでもこの人たちは我慢した。
暴動など1度も起こさずに、人々は支えあった。
誇り高い日本人だった。


だがその時に、政府は何をした?
東電は何をした!?


保身に走り、事故を小さく見せようとし、偽りの情報を垂れ流し続けたのだ。
その結果、大量被ばくした人たちがいる。
放射能感受性の高い子供たちにも、放射能は降り注いだ。
政府のウソは続いた
東電はなんの根拠もなしに「直ちに健康に影響のないレベル」と言い続けた。
その結果、だれか逮捕されたか?
責任者が1人でも引責辞任したか?
加害企業の東電は破たんしたか?
時の政権の中で1度でも「破たん処理」は真剣に討議されたか?
何もなかった。
被害者のみがばかな目を見た


こうした一連の流れを私たちは目にしたのだ。
茶番劇を見せられ続けた。
なんとわれわれは我慢強いのだろう。
だが国際世論は何と言ったか。
「日本人はエライ。賞賛すべき人々だ」と言ったか。
とんでもない!!
じっと怒りを抑え、感情を爆発させない日本国民に対して外国メディアは
『日本は奇妙な国だ。無責任な政府に対して「ノー」を言わない。共犯ではないか』
と批判的、あるいはエキセントリックな人種だと言わんばかりの見方をしている。


「誤解だァー!!」と叫びたい。
しかし、大事故にフタも出来ていない今、
大事故の検証さえしていない今、
野田佳彦政府は大飯原発3、4号機の再稼働を認めてしまった。
あろうことか「「私が責任を取る」の一言で押し切られ、責任の担保さえ取れないまま。
しかも首相はうなだれるどころか、「決める政治」を成し遂げたとばかりに胸を張っている。
思い込みもここまで激しいと超法規がまかり通る『かの国』を嗤(わら)えない。
だからこその「官邸包囲網」だと、この男は考えていないらしい。


こうも言えるだろうか。
原発事故は仕方がない。国全体で進めてきたこと。大多数の国民もそれに異を唱えてこなかった。責任の一端は国民の側にもある。豊富な電力を享受してきたのもこの時代の日本人たるわれわれだ。
だから、こみあげて来る怒りをグッと抑えている。
しかし、原発事故自体は仕方ないにしても、
事故に伴って起きた一連の政府・東電の所作はなんであるのか!!
これを「忌々しい」と言わずして何と表現出来よう。


そうした折も折、またも国民の神経をさかなでしているのが今度の“事件”だ。
無作為抽出だから公平だ!?
中電社員も国民の1人だから意見を言う権利がある!?
言論の封殺だ、メディアによるバッシングだ……。
驚きいった「正論」もあるものだ。
当事者を聴取会の発表者にするばかがどこにいる!
国民からの意見を「聞くべき立場の者」が、自分で意見を言ってどうする。



会社から(意見発表を)促されたものではないと言う。
当たり前である。
会社がそこまで愚かなら、その会社は社会に存在する意味がない。
ではこの課長、無断でしゃしゃり出たのだろうか。サ
ラリーマンだから、そんなことはないだろう。
一応、上の者に「出ますよ」と報告したに違いない。
上司はどう思ったのか。「
おーっ、よくぞ出てくれる気になったものだ」と思わなかったろう。
『困ったことになった』と感じるのが普通だ。
でも止めなかった。
前日、仙台でも同じ事件があったではないか。
中電ほどのエリート企業が、そこから何も学べなかったとは退廃もはなはだしい


中電の失敗の原因は、うかつさなのか、無責任さなのか、それとも傲慢さ故なのか。
いずれにしても課長は悪びれず発表した。
しかし中電は、経営者も、幹部も、一般社員も、1人残らず
自分の立場、会社の立場からではなく、一般の人々の声を素直に聞くべきである。
聞く前に自分(たち)の理屈や言い訳で高い防護壁を作るのではなく、
虚心坦懐に「普通の人はこう考えているのか」に耳を傾けるべきだった。


国民がまだしも我慢してくれているうちに、企業としての本然を取り戻してもらいたい。
地域独占の基幹企業の本然とは言うまでもない。
「国民への奉仕」ということである。



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