「課長」河野さんの失敗、笑って済ませられない空気って何!? | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。



お笑いコンビの「次長課長」の河本準一さんの会見をたまたま目にしたとき、
僕は強い違和感を覚えた。
そして『かわいそうに』と思った。
これが僕の直観だ。



『かわいそうに』と言えない空気が、蔓延しているように思えた。
何かスッキリしない気分だが、事情も深く知らないことゆえ、黙っていた。
しかしきょう、facebookのタイムラインで「時々パリ」さんのブログが紹介されており、
一読して、僕が違和感を感じた理由がわかったような気がした。
ブログを書いた「時々パリ」さんに、強く握手を求めたい。



僕はミーツ出版という出版社をこの3月に立ち上げた。
1年間の事業計画を検討してみると、僕個人への収入はほとんどなさそうだ。
それも、今年計画している3冊の本が首尾よくリリースされ、
それなりに売れていくということを前提にしての話である。
よくて今年の年収は200万円程度!
そのとき僕は笑いがこみあげてきた。



『休みも祭日もなく、これほど働いてもワーキングプアだな、俺は…』


しかしそれは、苦笑いというものであって、決して忌々しく自嘲したわけではない。
僕には国家からの年金があるし、勤めてきた企業に預けている年金の収入もあるからだ。
だから笑っていられるが、現役の人たちのワーキングプアぶりは、
冗談や笑いでは済まされない。
しかし現代の日本で、1100万人以上もがその状態におり、
政治からも行政からも放置されている。


自ら事業を始めた僕は、企業の現状についても少しは分かるようになり、
「企業を悪者にする」気はなくなっている。
同時に、政治に対しても無茶苦茶を言う気はない。
しかし政府・政権与党も、野党の自民党も
「大きな政府」「小さな政府」のどちらで行くとも決めず、
政策の原資たる税金をどうするかさえ決められないでいる。
(消費税増税問題の混乱を見よ!)


こうした中で、生活保護費問題の象徴であるかのように河野さんがやり玉に上がり、
「けしからん」とスケープゴートにされた。
メディアの報道の次元が低すぎ、問題が国家の大きな仕組みそのものにあるのに、
個人の倫理観の問題にすり替えられてしまった。


僕はメディアに長くいた者だけに、
記者、レポーター、それを指導し価値判断の要を握っているデスク、ディレクター、
プロデューサーの力量のなさにガッカリさせられる。


「今どきの若い者は」なんて言う気はさらさらない。
今のメディアが幼稚で力がなく、世間をミスリードばかりしているとすれば、
その責任は前の世代だる「僕らの世代」に問題があったからだ。


自分がいつも正しいなどとは思わない。
今までも、これからだって、決して思わないだろう。
しかし、メディアのミスリードは大きな罪である。
そのことだけはキモに銘じている。


今回の報道が胸を張れるものであったか、
メディアに関係する人はよくよく考えてほしいと思うのだ。





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