前回僕は、facebookを商品のPRに使おうとしている友達に対し、
「PRする=広く知らせるツール、としては限界がありますよ」と答えた。
facebookの「実名主義」が、普及のブレーキになっているのは間違いない。
本来facebookは、「囲い込む」ことを得意とするツールだ。
人と人を結ぶのは得意だが、広く外に向かって発信していく機能は乏しい。
■「信頼」を軸に人とひとをつなげるのがfacebook
それを打破するつもりだろうか、最近は右サイドバーにうるさいくらい
「知り合いかも?」の呼びかけが出現する。
それに吊られてうかうかと「友達になる」をクリックしまくると、
「見知らぬ人に申請した」との“罪”で、一時活動停止を受けたりもする。
友達を増やさせたいのか、禁じたいのかどっちなんだよ!と怒りたくなる。
第一、 見知らぬ人と友達になることがなぜ「ノー」なのか。
知り合いでなくても共感できる人はいるし、快・不快はこちらが決めること。
そんな理屈はさておいて、
とにかく友達の数を増やしたいんだ、という人だって少なくない。
使い方は人それぞれ、千差万別であり、それでいいと思うのだが、
facebookの運営者は今のところ迷いの渦中にいるようだ。
彼らだって『日本でもっとfacebookを普及させたい』と考えている。
そのためにオープン化を試行錯誤して進めながら、
「知り合いを中心とした交流」という枠だけは崩せないでいる。
根幹を揺るがすと、失われるものがあると分かっているからだ。
「人とのきずなを強める」というfacebookの強力な機能。
実名主義なればこその、リアル社会並みの緊張と節度…。
これらは確かにfacebookの根っこであり、妥協したくはないだろう。
■キュークツなfacebookだけれど……
よって、facebook運営上の混乱はまだまだ続くと思う。
だが、彼らが完全にオープン化に踏み切ることはないのだと思う。
だから「友達上限」が廃止されることも当面、有りそうもない。
まことにfacebookは窮屈だ。
窮屈な上に融通がきかないときている。
以前、傑物から友達申請が来たので彼のことをブログに書いた。
そして彼が紹介する人に読んでもらおうとURLを入れて友達申請した。
すると、数人申請したところでfacebookから「警告」がポップアップ。
「URL付き文章を多数に送るのはスパム行為になる」とかなんとか…。
カチンときた僕は、運営者に長いメールを書いた。
回答はなし。で、それ以上追及せず、泣き寝入りした。
なにしろこちらはロハ(無料)で使わせていただいている。
向こうの流儀に合わせるより仕方がない。
■行儀のよい日本のfacebook利用者
負け惜しみ聞こえるが、facebookのこの融通のきかなさが実は好きだ。
ビジネス利用は邪道、と言わんばかりの高飛車も、
「実名」を前提に考えれば当然の「決め事」に思える。
リアルの世界で5000人の友達がいる人はそんなにいると思えない。
5000人に向かって、のべつ幕なし「広告」ばかり語る人もいない。
そんなことをすれば、ひんしゅくを買うだけであろう。
facebookの思考法が素直に受容されている日本の利用者は行儀がいい。
だから今、facebookでネット特有の「不快」に出会う事はまずない。
僕は横紙破りだが、それでも好き勝手の一歩手前で自重している。
郷に入れば郷に従え、『facebook様、ごもっとも』である。
とは言え僕はちょっとへそ曲がりで、それほど恐れ入ってもいない。
何かもっとよい使い方があるはずだ、と常に考えている。
ビジネスにおいてもこの「ツール」は使えるはずである。
■夢をかなえるツール? ビジネス本の期待外れ
頭の中で試行錯誤しているうちに、facebook活用本が出るわ出るわ。
すべて目を通しているわけではないが、書棚をだいぶ占拠してきた。
そのことごとくが「夢のツール」とうたっている。
「ビジネス」「集客」「仕事術」「成功法」と言うキャッチが多い。
『ウソつけ!』と僕は内心、毒づいている。
この著者たちはデジタルの専門家ではあっても、
人間の専門家、心の機微を読める人たちではない、と思うのだ。
使い方を教えてくれる「入門本」「ノウハウ本」はそれなりに価値がある。
しかし「ビジネス」「集客」をあおる本はたいてい期待外れである。
そこまで言うなら「お前が書け」と言われそうだが、
「これならどうだ」と言える確たる方法を持っているわけではない。
これこそが、日本における今のfacebookの「問題点」なのだと思う。
僕はあれこれ考えているが、完璧な成功事例を把握していない。
『できそうだ』と思う方法はあるが、実践する人はまだ少ない。
だから気楽に「夢をかなえるツール」などと言ってほしくない。
しかし一方、「その可能性あり」だけは僕も強調しておきたいのだ。
■facebookは実名だからこそ使い道がある!!
回りくどい言い方はやめて、ズバリ言おう。
facebookは実名だからこそ使い道がある!!
確かに普及の面では「障害」だが、
それを上回るメリットが「実名」にはある。
商売は全身全霊で取り組まなければ成功しない。
サラリーマンにすぎない僕が言うのも妙だが、
サラリーマンだって、命懸けでやらなければ成功はおぼつかない。
どんな仕事でも同じだ。
僕は虚と実、建て前と本音を使い分ける器用さがないから、
ツイッターでもfacebookでも実名を使い、痛痒を感じていない。
言っている中身もストレート、変化球はめったに投げない。
(たまには投げるよ。読む人が息苦しくなりすぎないように)
気兼ね社会、空気を読まなきゃ損という風潮を百も承知で、
思ったことを、ほぼ思ったままに書いてきた。
ふつうの人が言いにくいことを書いてきているつもりだ。
■facebookの中で自分のキャラクターをつくる
なぜそんなことをするのかと言えば、キャラクター作りである。
これはたくさんあるソーシャルメディアの中で、
facebookが実名原則を貫いているからこそできる芸当だ。
匿名だからといって、勝手な誹謗中傷、うわさ話を流す人がいる。
心に抱いている悪意や邪心をむき出しに叩きつける者もいる。
そういうメディアで真っ当なことを書いても、「個」は確立できない。
雑で次元の低いネタの奔流の中で、かき消されるだけである。
だから、商売のことを語るのはfacebookだと思っている。
商いは真剣勝負だ。
真剣な言葉、真っ当な心根はfacebookならストレートに通じる。
facebookでキャラクターを作る、それがすべての第一歩だ。
■「信用」を築くfacebook
こと「信用」を築くのに、こんなに優れたソーシャルメディアはない。
日本では欠点であるかのように言われてしまう「実名主義」こそが、
facebookの最大の長所であり、ビジネスにも使える要素なのだと思う。
確かに今のところfacebookには「数」のデメリットがある。
Mさんには「(facebookでは)だめでしょう」と言った。
全国販売をめざす商品の宣伝には向かない。(今のところ)
しかし、個人のお店だったらどうだろう。
顧客の数が1000人もいるのだろうか。
100人単位でよいのだとすれば、facebookの普及率で十分だ。
■個人、個店、小さな会社でこそ使えるfacebook
リアル友の1人に花屋さんがある。
娘さんが仕事を手伝い始めたという。
彼自身はネットにうとく、パソコンさえ触らない。
しかし彼女はPCもモバイルもお手の物。
友から言わせれば、「きょうも何やらiPhoneで書いていた」
そこで、はたと僕は気がついた。
『ツイッターかfacebook……』
ならば、彼女にやらせればいいのだと思った。
新米花屋とベテランの父との掛け合いは、読む人の興味を引くはずだ。
早朝の市場で、どんな花が今日の売れ筋だったのか。
新品種の話、花の流行通信、店でお客とのやりとり…。
すべてがつぶやきのネタになる。
お花屋さんだから、写真にもこと欠かない。
父親は花のアレンジの名人である。
しかしそれは一部の客しか知らない(何せ寡黙な男だから)。
彼がアレンジした花束を、多くの人に見てもらいたい。
僕が彼女の立場なら、写真を付けてどんどん情報発信するだろう。
■全身全霊で打ち込む仕事は魅力的だ
facebookの中で「個(キャラクター)」さえ確立していれば、
仕事の話イコール=個性である。
PR臭くて敬遠されるという事もないと思う。
花が好き、仕事が好きなことが前提である。
それさえ分かってもらっていれば、個性は伝わり共感される。
無理をしてfacebookページをつくるまでもない。
本格的にPRに賭けるならホームページを作り、
ブログを書くことも有効な手段だが、
素のままfacebookとツイッターでつぶやき続けるだけでも、
ファンは少しずつ増えていくだろう。
■「言葉」の大切さに気づいてほしい
facebookは個人や個店、小さな会社を売り込むためのツールになり得る。
かく言う僕も、なぜ欠かさずツイートをするかと言えば、
自分と言う人間をキャラクター化するためである。
出版社立ち上げのときに、既に個人のファンがいてくれることが理想だが…。
この1年半あまり僕がつぶやいてきたことは、
ファンづくりどころか、ファン離れを招いているかもしれない。
困ったな……。言葉というのはそれほどやっかいなものだ。
facebookビジネス本の勘違いの第一は、
「言葉」の大切さに気づいていないことだと思う。
そして第二に、方法ばかりを書いていること。
第三に、個性・人となりを忘れてマニュアル化できると思っていること。
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情報をお寄せ下さい
来春、僕は出版社を立ち上げる。
第一番目の本は、本当に役に立つfacebookの本にするつもりだ。
自分が隔靴掻痒なら、多くの人も「モヤモヤしてる」と思うのだ。
facebookは小さなお店や会社の味方だ。
大企業の成功例ばかり喧伝されるが、そんなものは僕らには無縁。
個人の才覚をfacebookに生かす方法はあるはずだ。
僕はそれを書こうと思っている。
目下、『これは』というお手本を、探しているところだ。
自薦・他薦、情報を教えてもらえるとうれしい。
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