希望的観測に基づく「安全神話」「安心デマ」なら、ないほうがマシ=文科省の「放射線副読本」 | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。



毎度ばかばかしいお話を新聞は伝えてくれる。
朝日朝刊に「原発事故に備え放射線副読本」を文部科学省が公開したと出ていた。
その前提の考え方とは


「1度に100㍉シーベルト以下の放射線を受けた場合、
放射線だけを原因としてがんなどの病気になったという
明確な証拠はありません」



副読本は、小中高の児童生徒と教師用に計13パターンと、
実にていねいにつくられているが…
(参考:小学校児童用


唖然とするような前提だ
僕は全くの素人だが、レントゲン撮影で1回の被曝量が
600マイクロシーベルトであることくらいは知っている。


しかし、ここがクセものだ。
「ミリ」と「マイクロ」。
単位の使い分けが、問題意識をそらしてしまう。


100ミリと言われてもピンと来ないが、
「100ミリシーベルト=100000(10万)マイクロシーベルト」と書かれれば、
誰にも問題の所在が見えてくる。


文科省は、1回のレントゲン撮影の166倍もの被曝をしても「安全」だ、
と副読本でのたまわっているのだ。
その言い方も姑息である。


「病気になったという明確な証拠はありません」
疫学的に証明されていないと言いたいのだろうが、逆から読めば、
(確かな証拠はないものの)怪しい事例は枚挙にいとまない、ということでもある。


■  ■

第一、副読本は何のためにつくったのか。
放射線被ばくの危険を訴えるためではないのか。
その副読本で国は、またしても「希望的観測」に基づく
「安全神話」「安心デマ」の愚をおかしている。


笑ってしまうくらいトンチンカンだ。


文科省の責任あるお役人に、
「1回、100㍉シーベルト被曝してご覧なさい」と申し上げたい。
「100㍉シーベルト被曝してもがんになると決まったものではない」と書ける神経は、
人間を人間と思わず、ウシかブタ程度にしか考えていないことの証明だ。


こと原発報道に限らないが、
中央の役人が出す情報には、ますます信頼がおけなくなった
誰のため、何のための「姑息」なのか。
さっぱり分からない。


分かるのは、国民にとって、まことに不幸な状況だということである。






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