「ロバ」との対話 | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。


焼津のホルン奏者、ロバ君に会った。


本社17階のレストラン「バイロン」
静岡市内から高草山までの景色を眺めながら、食べるのも忘れて2時間半。
楽しい時間だった。


「ロバ」は身長178.5センチ、日に焼けた顔は精悍だ。
よく見ると、俳優の小栗旬に似ていなくもない。
前歯が2本、ビーバーみたいでちょっとかわいい。
年齢は聞き忘れた。

hidekidos かく語り記-ロバ 橋本君


ツイッターは昨年1月ころから本格的に始めた、と言う。
今や静岡のツイッターといえば「ロバ」だ。
目が半眼、それでいて耳はしゃきっとしているとぼけた感じの
ロバのアイコンは「象徴的」な存在になっている。


浜松のデザイナーさんにイラストをお願いしたんです。
DMで『描いてくれませんか』と出したら、
半日くらいですぐ描いてくれました。



ツイッターがつなげた縁、デザイナーはおカネを要求しなかった。
そのアイコンが、12万人のフォロワーを獲得し、累計数千万人の目に触れる…
金銭に換えられない価値があったと言えそうだ。


「ロバ」の本職はセールスである。
「営業の仕事は、理詰めにやらないとだめ」だと言う。
だからだろう、
「10万人と言う数字はどうなの?」という問い掛けに
「ロバ」ははにかみながら、でも明快に答えた。

hidekidos かく語り記-ロバ
ブログも書いているんですが、ツイッターで数千フォロワーの頃、
すでにブログのトータルカウントは10万を超えていたんです。
その状態でTwitterの可能性をイメージした時に、
『10万人くらい行かないとリアルでのフィードバックが得られないのではないか』
と、思ったんですね。



「ロバ」はごく初期のころから「10万人フォロワー」を意識していた!
これは驚きだ。
僕も先日、10万人のフォロワーを得たが、それまで何の計算もなかった。
「重い数字」にさすがに戸惑いを感じ、少し動揺した、くらいなものである。
「ロバ」は違った。10万人を当初から意識していたというのだ。


実際、数万人に達した時点で、そもそもツイッターのスピード感が
従来のメディアと全く違うことに気づいたんです。
だから現時点では、10万は通過点としてしか認識していません。



「ロバ」はまだまだ先を行きそうだ。


5~10万は勢いで行ける。
でも、30万とか50万とかになっていったらどうなんでしょう。
その過程でのリアルでのコミュニケーションは、スゴいことになって行るんじゃないかな…。



そう言えばきょう、「ロバ」は所属する静岡フィルハーモニー管弦楽団のチケットを持ってきてくれたのだった。
静フィル創立35周年、記念の定期演奏会の目玉はマーラーの交響曲「復活」。
震災の年にふさわしい演目と言える。
彼の言う、リアルでのコミュニケーションのおかげで、チケットを届ける先が広がった。
だが「ロバ」はそんな目先の効果ばかりを見ていない。


震災の後、東京や東北でコンサートをやる動きがありました。
すると、『どうして僕はこっちの(ツイッターのこちら側の)人なんだろう』と思ってしまう。
あちら側に行きたいと…。



「ロバ」はすでにツイッターを通じて、全国の音楽仲間とつながっている。
その気になれば、すぐにも向こう側の世界に飛んでいけるところにいる。


「ロバ」のブログ http://roba-kun.cocolog-nifty.com/blog/ によれば 
趣味は家庭菜園、サーフィン、室内楽、健康増進。そしてトイレ掃除…。
うーん、とらえどころがない。「?」だらけ…。
サーフィンをやるから日に焼けている?
『しかし、トイレ掃除って何なんだ?』
さらりと生きているようで、しかし1本、ドーンと芯(シン)が通っている。
不思議な存在感だ。


「ところでなぜ、『ロバ』なのかな?」


モーツァルトの友達にロイトゲープという人がいるんです。
24歳も年上だけど、ホルン吹きです。
モーツァルトは親愛をこめて「ロバ」と呼んだけど、誰よりもロバの技量を評価していた。
カラーペンで五線譜にロバをからかうつぶやきをたくさん残しているくらい…。



モーツァルトはロイトゲープ(Leutgeb)のためにホルン協奏曲を4曲も書いている。
年下の天才は、このホルン吹きを好んで「ライトゲープ(leitgeb)」と呼んだ。
それで「ロバ」のアカウントは d_leitgeb 。


マーラーの交響曲『復活』は150人編成。プラス混声合唱150人。
この大交響曲を演奏する静岡フィルハーモニーは、国内有数の民間交響楽団だ。


35回目が「復活」でしょう。
第100回の定期演奏会はどんな姿になるんだろうか、と思うんです。
今でも、主要パートは国内の著名演奏家を招待(有料)している。
相当なところまで、やれるはず。
これからさらに…



「本当に100回定演のこと、考えてるの?」


「ロバ」は真顔で「はい」と答えた。


ツイッターをはじめて、「ロバ」の人生は変わったのだ、と思った。。
普通の青年、普通の営業マンの「ロバ」の視野は、どんどん広がっている。
そこで僕は聞いてみた。


「静岡でツイッターをやっている100人を本にしたいんだけど」


おもしろいですね。
ツイッターと言うと東京中心。
コアな人は出尽くしている感がありますけど…。
地方でムーブメントが起きています。
僕の周り、静岡県の中部を見ただけでも、スパークと言うか、発酵と言うか、
互いに個性も得意も技量も違う人たちが、刺激しあって、何かをしようしている。
3年後、5は年後にはなにが起きているんだろうと思いますね。



「ロバ」は走り続ける。
フォロワーを増やし、リアルな交流の場にも足を運ぶ。
この静かな男を駆り立てているのはなんだろう。


10万人でやめてしまったら、新しい出会いのチャンスを失っしまう。
今まででも、信じられないような出会いがあったんですから。




※ロバ君の所属を「静岡交響楽団」と書いていました。
先ほど「復活」コンサートの直前お会いしたところ、
「静岡フィルハーモニー管弦楽団です」と指摘を受けました
失礼しました。おわびして訂正します。



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