和を以て貴しと為す
わしは長尾景虎(ながおかげとら)です。
関東管領、上杉憲実(うえすぎのりざね)は妻、佐奈子(さなこ)を連れ、金沢郷の称名時(しょうみょうじ)に来ていた。
現在の称名寺
憲実は鎌倉時代の金沢北条氏の蔵書を読んでいた。
称名寺は鎌倉時代の武将、北条実時(ほうじょうさねとき)が開基したんだよ
佐奈子は儒教関連の書籍に興味を持って読んでいた。
憲実「佐奈子、儒教は理解度は上がっておるか?」
佐奈子「なかなか…読めば読むほど入り込んでしまいます。殿はいかがですか?」
憲実「様々な書籍がある、儒教、仏教、兵学、歴史書…学ぶことができる書籍ばかりだ。」
佐奈子「学ぶことは人の成長になりますね。」
憲実「うむ、争いより学ぶことが大切だな…。」
2人が書籍を読んでいるところへ家臣の長尾忠政(ながおただまさ)が来て、
忠政「殿(憲実のこと)、持氏(もちうじ)様が至急お呼びとの報せが入りました。」
憲実「公方(持氏のこと)様が、何かあったのか?」
忠政「わかりませぬが…急ぎ鎌倉へ戻れとのことです。」
憲実「…佐奈子、わしは急ぎ鎌倉へ戻る。そなたは満足いくまで書籍を読むがよい。鎌倉にはゆっくり帰ってくればよい。」
佐奈子「わかりました。お気をつけて。」
鎌倉公方邸跡
憲実は鎌倉に戻り、持氏の館に入った。
憲実「ただいま戻りました。」
持氏「おぉ、憲実、戻ったか。」
憲実「はい、急ぎのお呼びと聞きましたゆえ。いかがなさりましたか?」
持氏「京の将軍、義量(よしかず)公が亡くなられたのは知っておるな?」
憲実「はい…まだお若いのに…」
持氏「そなたの方が若いぞ…それより大御所の義持(よしもち)公には義量公以外の実子はおらぬ。後継ぎがおらぬのだ。」
足利義量
義量さんはお酒の飲み過ぎの酒害で亡くなられたようだね。
持氏「ここで…わしが義持公の養子になろうと思うのだ。」
憲実がドキリとした。
憲実「殿が養子…ということは将軍になる…と考えておられますか?」
持氏「察しが早いの。さすが憲実だ。そこで…そなたに京に行ってきてもらいたい。」
憲実「私が京へ?」
持氏「うむ、養子の件…猶子でよい。そのことを義持公に取り付けてほしい。」
憲実「…義持様が納得するでしょうか?」
持氏「憲実、足利が京と鎌倉に分かれて、争いが絶えなかった。不幸中の幸い…義量公の逝去が京と鎌倉がひとつになる機会だと思うのだ。」
憲実は内心、
『それは無理ではないだろうか…』
しかし、憲実は断ることはできず、
憲実「わかりました。京に行くのは初めて、いい機会です。行ってまいります。」
持氏「頼むぞ。」
憲実は不安と期待を持ちながら京に行くことにしたのだ…。
つづく…










