前回まではこちら⬇️
天下を競望せず…
わしは吉川元春（きっかわもとはる）の三男、広家（ひろいえ）です。
岩国まで来た陶晴賢（すえはるかた）の元に1通の書状が送られて来た。
晴賢「桂元澄（かつらもとずみ）から密書だと⁉︎」
元澄さんって毛利家の重臣だよねその場には弘中隆包（ひろなかたかかね）がいた。
隆包「どのような内容ですか？」
晴賢は密書を読み、
晴賢「我らに内通したいと…。」
隆包「これは…元就の謀（はかりごと）では？」
晴賢「元澄は吉田郡山城（よしだこおりやまじょう）を攻めるゆえ、厳島を抑えてほしいといっておる。」
隆包「厳島に我らを行かせる策ではありませんか？」
晴賢「…よし、元澄にわしに会いにこいと伝えよう。元澄と会って、真偽と見極め、嘘偽りなら、その場で斬ってやる。」
その頃、毛利軍は佐東銀山城（さとうかなやまじょう）に陣を移していた。
元春は元就（もとなり）を詰めていた。
元春「父上、桜尾城（さくらおじょう）に置いた元澄がいなくなったと聞きました。」
元就「ほぉ、そなた、忍びを放っておるのか？」
元春「はい、吉川も忍びを雇っておりますゆえ。」
元就「……謀は静かに進めねばならん。他言はするな…元澄に晴賢と内通させたのだ。」
元春「内通⁈ 父上が内通を勧めるとは…なぜに？」
元就「元澄が吉田郡山城を攻めると言わせておる。晴賢がそれを信用すれば、必ず厳島に渡るだろう。我らが大軍の陶軍に勝つには狭い厳島に渡らせ、それを奇襲するのが最良の策なのだ。」
元春は感心した。
元春「なるほど！我が軍は陶軍より少数。奇襲が最良とはまさに！しかし、晴賢が元澄を信用するでしょうか？」
元就「かつて元澄の父、広澄（ひろずみ）は、わしの毛利家相続の際の敵対勢力粛正で自害してしまったのだ。」
元就さんが毛利家を継いだ時、異母弟の相合元綱（あいおうもとつな）さんの勢力と揉めたんだよね元就「元澄には、その時の遺恨をずっと持っていたと言うように伝えてある。」
元春「かつての遺恨を使うとは…これが父上の謀。」
そこに忍びの世鬼政時（せきまさとき）が現れた。
政時「元就様、桂元澄殿、桜尾城に戻りました。」
元就「そうか、策が通ったのだな。」
政時「はい、元澄殿は晴賢に起請文まで出して信用させました。」
元就「うむ、これで厳島に陶軍が渡るのは間違いない。」
起請文って人との契約を交わす時に神仏に誓う文書なんだよ元春「これで決戦ですな！」
元就「いや、まだひとつ問題が残っておる。それは、水軍だ。」
元就が心配していた水軍において船の数が圧倒的に陶軍に負けていた。
元春『水軍…隆景（たかかげ）頼むぞ！』
元就は瀬戸内の有力な水軍、村上水軍（むらかみすいぐん）の協力を小早川隆景に託していたのだ…
つづく…
にほんブログ村
宜しければバナー⬆️をクリックしてね