猛将親父 〜第23話 元春と興経〜 | 歴史を感じよう

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日本史について感じたこと、調べたことを連載形式で書いていきます。また、神社やお寺、史跡巡りしたこと、プロレスについても書いていきます。わが愛犬てんのことも語っていきます。そして…「オイラ、えいたろうの相棒のコアラだよ。是非読んでね。」

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目次






天下を競望せず…


わしは吉川元春(きっかわもとはる)の三男、広家(ひろいえ)です。




天文19年(1550年)、吉川興経(きっかわおきつね)は隠居し、安芸深川に妻子と共に幽閉された。


興経が幽閉された館

コアラ興経さんは元就さんの策で吉川家の家臣に半ば強制的に隠居させられたんだよ



興経の隠居により、吉川家は元春が継ぐことになったのだ。



元春は元就(もとなり)に興経との面談を願い出た。

元春「父上、わしは吉川家を継ぐなら、興経殿と話しとおごさいます。」

元就「興経はわしを恨んでおるぞ。わしへの罵詈雑言しかないぞ。」

元春「それでも、わしは会いとおごさいます。それが吉川家を継ぐものの宿命と存じます。」

元就「…わかった。会ってこい。」





元春は興経の居る館に行き、興経と会った。



興経は暗い一室にいた。


元春「元春にございます。」

興経「……。」

元春「此度、吉川家を相続することになりました。」

興経「…相続?乗っ取りであろうが!家臣どもが騒ぎ立てたが、これは元就の謀であろうが!」


興経は声を荒げ立てた。


興経「わしは吉川家を守らなねばならぬ当主なのだ。吉川家は鬼吉川(おにきっかわ)の異名を取った武門の家。それを毛利ごときに…。」

元春「鬼吉川と言われる家がなぜ裏切りを繰り返すのだ?鬼吉川とは強さの象徴ではなのか?」


コアラ鬼吉川って吉川家の11代当主、吉川経基(きっかわつねもと)さんが応仁の乱で活躍し、そう言われるようになったんだよ

応仁の乱


元春は冷静に声を上げた。


興経「強さ…強さだけでは、家を守れぬ。それは元就も痛いほど知っているはずだ。」

元春「わしは吉川家を継ぐ以上、家を強くし、信頼関係を大切にしていく所存。」

興経「……そなたがどうするのか、ここから見せてもらうぞ。」

元春「見ておれ!」




元春と興経のやり取りを元就の忍び、世鬼政時(せきまさとき)が密かに見ていた。


元春は館を出て、

元春「…政時、父上の命か?」



政時はドキリとした。

政時「…よくぞ、私が見ていることを知っておりましたか…」

元春「父上のことだ。興経の見張りは四六時中いることはわかっておった。」

政時「まだ興経は信用なりませぬからな。」

元春「父上は興経を亡き者にするつもりだな?」

政時「…私にはわかりませぬ。私は大殿(元就のこと)の命に従うまでです。」



元春は大きな息をついた。


元春『これでは恨みしか残らぬ…』





その後、興経の動きに目立ったものはなかったが、密かに元就の謀は動いていたのだ…





つづく…







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