世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
年が明け、長享3年…
六角征伐は相変わらず膠着状態を抜け出せず、我が鈎の陣(まがりのじん)はただただ無駄に時が過ぎていた。
六角勢は攻めては逃げる、相手が疲れたのを見て攻めるの繰り返しをしていたんだ
我の体は日々、酒と水しか受付けず弱っていた。
その頃、美濃国の革手城(かわてじょう)…
足利義視さんは足利義政(あしかがよしまさ)さんの弟であり、応仁の乱では最終的に西軍の総大将だったね
義視「鈎の陣から、わしとそなたに来て欲しいと言ってきたぞ。」
義材「なぜ我らが?」
義視「義尚の体が弱っているらしいのだ。一旦、義尚を帰京させて、六角征伐の総大将をそなたに任せたいと義尚の側近どもが言ってきた。」
義材「義尚殿はそんなにお悪いのですか…」
義視「義材、これは好機ぞ。近江を治め、新たにそなたが将軍になるのじゃ。」
義材「私が将軍に?まだ義尚殿は生きておりまする。」
義視「今、この機に力を伸ばしておくのじゃ。この父は将軍候補となりながらなれなんだ…父の夢を果たす時が来たのじゃ!義尚は子がおらぬし、そなたは日野家の血も流れておるから、大御台の日野富子(ひのとみこ)も後押しするはず。」
義材さんのお母さんは富子さんの妹なんだよ。
義材「されど大名らは私を認めてくれますか?」
義視「心配致すな、大内(おおうち)、畠山(はたけやま)…わしとは旧知の仲じゃ。」
義材「細川政元(ほそかわまさもと)は?」
義視「細川1人、どうにでもなるわ。わしに任せておけ。」
義材の心配は現実となるが、それはまだ後のこと…
政元は我が母、富子を連れて鈎の陣に戻ってきた。
富子は我の体が悪いことを心配して、わざわざ戦場まで来たのだ。
義尚「政元!なぜ母を戦場に連れてきたのだ!?」
富子「私が頼んだのです。」
この時の我は顔が黄色く、見た目から弱っているのがわかる状態だった。
富子「そんな体で戦に出るなど、もってのほか!明日にはこの母と京に帰るのです。」
義尚「戦を放り出して京に帰るなど出来ませぬ!我は将軍!!この戦の総大将です!」
富子「戦の総大将は義尚の従兄弟の義材殿に任せなされ。」
義尚「義材⁈ ありえぬ、我に内緒で勝手は許さぬ!母こそ1人で京に帰ってくだされ!」
富子「義尚!」
義尚「政元!我に着いて参れ!」
我はそう言い、その場から出て行った。そして我はある決心したのだ…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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