世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
長享2年(1488年)秋…京は東山
細川政元(ほそかわまさもと)は東山山荘で我が父、足利義政(あしかがよしまさ)に会いに行った。
義政は幼児を連れていた。
政元「大御所様(義政のこと)、そちらは?」
義政「これは我が甥、清晃(せいこう)じゃ。」
政元「清晃様、堀越公方(ほりごえくぼう)の足利政知(あしかがまさとも)様の御三男。」
義政「関東から、わしが呼び寄せた。今は天龍寺におる。」
清晃「細川殿、お見知り置きを…」
政元「これは…こちらこそ宜しくお願いします。」
政元と清晃は後に密な関係になる。
義政「清晃、寺に戻っていよ。」
清晃「はい、大御所様。」
清晃が去り、義政と政元だけになった。
義政「政元、里(さと)が亡くなったとか…」
政元「…はい、母は天狗に身を変えていました。」
義政「うむ〜、里は気丈な女性であった。天狗になったのは、何かを伝えたかったのだろう。」
政元「はい…それはこれから考えていきます。」
義政「ところで…義尚はどうしておる?」
政元「はっ、体調が思わしくありません。」
義政「もう六角高頼(ろっかくたかより)は近江から逃げたのであろう。なぜ戻らぬ?」
政元「御所様は高頼にとどめを刺したいのです。しかし…」
義政「陣は乱れているのであろう。わしの元に近江に荘園を持っている寺社から苦情がきておる。六角を追い払った将軍の奉公衆が荘園を我がものと押領しておると…これでは六角と同じではないか!?」
政元「大御所様の手を煩らわして申し訳ごさりませぬ。されど御所様は…」
義政は政元が言おうとしたのをさえぎり、
義政「義尚は…長くあるまい。それを義尚もわかっておる。近江に出陣する前にわしの元に来て、将軍の生き様を見せると言い、今生の別れをして行ったのだ。」
政元「…御所様が…」
義政「政元、義尚の最後を看取ってやってくれ。義尚は武士として将軍として最後を迎えたいのだ。」
政元「承知しました。すぐさま近江に戻ります。」
義政「頼むぞ。」
政元「…ところで大御所様、天狗は魔法を使うのでしょうか?」
義政「ん?何のことだ?」
政元「…いえ、何でもありませぬ。では!」
政元は天狗と魔法のことを気に始めていたのだ。
政元は近江に戻る前に龍安寺(りょうあんじ)の石庭に寄った。
政元は石庭の石を眺めていた。
政元「15個目の石…わしにはまだ見えぬ。」
政元は考えていた、考えすぎるくらいに考えた…。
つづく…
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