世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
政元(まさもと)の元に異母姉・洞松院(とうしょういん)と一休宗純(いっきゅうそうじゅん)が訪ねていた。
洞松院「和尚様、寝てる場合でございません。」
一休「…おぉ、暖かい陽気で、ついうとうとしてしもうた。」
政元はあぜんとしていた。
政元「…えっ…と、お初にお目にかかります。細川政元です。」
一休「これは失礼した。わしが一休じゃ。そなたの父、勝元(かつもと)殿とは生前親しくさせてもろうた。」
政元「此度は何用で?」
一休「頼みがあるのじゃ。龍安寺(りょうあんじ)のことじゃが…応仁の乱(おうにんのらん)で焼けてしもうて、困っておる。ここにいる洞松院も、その1人じゃ。」
洞松院「亡き父上様が建て、私の大事なお寺を再建したいのです。」
政元「それは、わしも思っておりました。」
一休「今の幕府は、足利義政(あしかがよさしまさ)も日野富子(ひのとみこ)も己の欲ばかりで頼りにならん。細川の逸材、政元殿なら…と思うての。」
政元「今すぐとは言えませんが…必ず再建してみせます。」
一休「これは心強い。先の乱でどの守護大名もガタガタじゃ。細川家は後継ぎ問題もなく、頼りになるわ。」
洞松院「細川も後継ぎを決めておかねば他家と同じになりかねません。政元殿もそろそろ嫁をもうてはいかがですか?」
政元「私はまだ14、早うごさいますよ。」
一休「いや、早くはないぞ。相手だけでも決めておかれ。女は良いぞ〜。政元殿は女を知っておるのか?」
洞松院「和尚様、変なことを教えないでください。」
一休宗純は仏に仕える身でありながら女犯を行っていたのだ。晩年には森女(しんじょ)という盲目の女性を妻にしていたそうだ。
洞松院「とにかく…嫁取りは早くなされ。」
政元「はい…ところで和尚様、人は生き返ることはあるのでしょうか?」
一休「人は死ねば土に帰ると言うの。生き返る…ことはあるまい。何かを見たのか?」
洞松院「政元殿…まさか父上様が?」
政元「…讃岐の国人が天狗になった父上を見たと言うのです。それにわしの周りに天狗が現れることがあって…父上ではないかと」
一休「天狗か…天狗は術を使うと言うの。もしかしたら天狗が勝元に化けたのではないか?」
政元「術…か…」
この時、政元は天狗の術のことを頭の片隅に置いたようだった。
その年、文明13年(1481年)の末、一休宗純は「死にとうない」と言って亡くなった。享年88。
政元は一度しか会えなかった一休であったが心に残る人物だったようだ。
文明14年(1482年)、政元は戦に巻き込まれることになる。
それは畠山政長(はたけやままさなが)が動いたのが始まりだった…。
つづく…
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