世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
我(幼名春王〔はるおう〕)と聡明丸(そうめいまる、細川政元〔ほそかわまさもと〕の幼名)は遊びのつもりで深夜に室町御所を出て争乱の街を徘徊した。
そして野盗に追いかけられ、逃げ回り、気づくと山名宗全(やまなそうぜん)の陣に入っていたのだ。
春王「夢中で走ってきたが…ここは西軍の陣辺りじゃないのか?」
聡明丸「ん…この大きな館は…あそこの塀の下に穴が空いております。」
春王「我らなら入れそうだな。行ってみよう。」
聡明丸「春王様、ここは敵陣。危のうございます。」
春王「大事ない、行くぞ!」
2人で崩れかけた塀の下の穴から館の中に忍びこんだのだ。
そこは館の庭で静けさが漂っていた。
春王「誰もおらぬな。ここは誰の館だろうか?」
聡明丸「しっ!春王様、向こうに誰かいます。」
2人は庭の木に隠れながら移動した。
すると、そこには僧のような人物が立っており、傍に女性が控えていた。
春王「あの僧は…?」
聡明丸「…」
聡明丸は少し驚いた様子でその人物を見ていた。
その2人は話を始めた。
僧らしき人物「あちらの様子はどうだ?」
女性「殿は戦を終わりにしたいと思っているようです。」
僧らしき人物「ほう、婿殿はそう思っているか…わしもそろそろよいと思っておる。」
女性「されど、回りの武将が…」
僧らしき人物「否を申しておるのだな。こちらにも否を申すものがおる…」
女性「殿は御父上に直に話をしたがっております。」
その時、我は落ちていた小枝を踏んでしまった。
ポキッ
女性「そこに誰かいます!」
僧らしき人物「誰だ!?」
我と聡明丸は逃げようとしたが、庭に隠れていたものたちに、あっという間に捕らえられしまった。
そして、我らは僧らしき人物の前に突き出された。
春王「くっ!放せ!」
僧らしき人物「どんな曲者かと思えば、小童ではないか…」
女性「…」
女性は驚いた表情をしていた。
春王「そなたは誰か?」
僧らしき人物「元気な小童だな…わしは山名宗全(やまなそうぜん)だ。」
春王「そなたが山名宗全…我は…」
我が名乗ろうとすると、聡明丸が我の腕を掴み止めたのだ。
宗全「ほぉ、そちらの小童は状況をわかっておるようだな。こやつらの正体を知っておるか?」
宗全は女性に尋ね、
女性「…知っております。そちらの子は…」
女性は聡明丸を見て、
女性「名は聡明丸…私の子です。」
宗全「何!?」
その女性は聡明丸の母、里(さと)だったのだ…。
つづく…
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