諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1219年2月13日、昨日より降り続いた雪は二尺も積もり、鎌倉は真っ白でした。
鶴岡八幡宮では右大臣就任の拝賀を行なう源実朝(みなもとのさねとも)様が現れました。
実朝様は装束に身を包み、牛車で来たのです。
牛車から降りる実朝様の近くに泰時はいました。
その泰時の姿を見つけた実朝様は声をかけました。
実朝「泰時、やっと私もここまで来た。念願の宋へ渡る日も近いぞ。」
泰時「宋…鎌倉殿(実朝様のこと)は諦めてはいなかったのですね。」
実朝「当たり前だ。私の念願だからな。泰時、宋へ渡る準備を怠るでないぞ。」
そう言う実朝様は笑顔でした。
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実朝様は鶴岡八幡宮に上がっていきましたが、その後に続いていたのが太刀持ち役の源仲章(みなもとのなかあきら)でした。
源仲章は京より来た貴族で実朝様の養育係をしていた方なのです。
泰時「太刀持ち役は我が父、義時(よしとき)ではなかったか?」
仲章「義時殿は体調が優れず、私に太刀持ち役を譲ったのだよ。右大臣就任の拝賀の太刀持ち役、名誉なことだ。」
泰時は義時の行動に不穏に感じたのです。
鶴岡八幡宮には御家人たちが集まってきました。
夜になり、鶴岡八幡宮の参拝を終えた実朝様や仲章らは石段を降りてきました。
そこへ…
石段の脇にある大銀杏の木から頭巾を被った一行が現れたのです。
実朝「んっ!何者か!?」
「親の仇はかく討つぞ!!」
そう叫んでたものは、
ザクッ!!
実朝様を頭から斬りつけたのです。
さらに一行の他のものは、
「獅子身中の虫、北条義時!覚悟!」
そう叫び仲章に襲いかかりました。
仲章「まっ、待て!私は義時ではなっ…」
仲章が言い終わる前に
ズバッ!!
刀は仲章を斬りつけていました。
「我こそは八幡宮別当阿闍梨公暁なるぞ!父の仇を討ち取ったり!」
その声は鶴岡八幡宮の石段の下にいた御家人たちまで響きました。
その声で御家人たちは、
「なんだ、なんだ⁇」
「公暁⁈」
「鎌倉殿に何かあったのか⁈」
泰時は石段を上がりました。そして御家人たちも泰時に続きました。
泰時「うっ…これは…」
石段の途中で泰時は足を止め、見たのは血の惨状だったのです…。
つづく…
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