諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1218年12月、源実朝(みなもとのさねとも)様は右大臣に任じられました。
百人一首で鎌倉右大臣ってあるけど実朝さんのことだね。
政子(まさこ)様や御台所の信子(のぶこ)様、執権・北条義時(ほうじょうよしとき)らは喜びました。
泰時は相変わらず三浦氏(みうらし)の家臣、伊原光吉(いはらみつよし)のことが気になっていました。
そんな泰時に私からの文が届きました。それは泰時が知りたかったことを書いたのです。
私と泰時の家臣、尾藤弥助(びとうやすけ)が調べたところによると、伊原光吉は西面武士(せいめんのぶし)の藤原秀康(ふじわらのひでやす)の弟だったのです。
秀康さんには秀能(ひでよし)、秀澄(ひでずみ)の2人の弟はいるけど…光吉さんは物語だけの架空の人物なんだよね。
光吉はいつの頃からは不明だが、京から消えていたのです。
泰時『やはり光吉は京からの間者だ、三浦の人間は知らなぬのか?』
泰時は三浦の館に向かいました。
館には当主・三浦義村(みうらよしむら)がいました。
義村「おぉ、泰時殿、いかがされた?」
泰時「義村殿、聞きたいことがあって参りました。義村殿の家臣、伊原光吉のことだが…」
義村「光吉…実は光吉はここ数日間、姿が見えぬのだ。」
泰時「逃げたと?」
義村「うむ、面目ない限りだが、光吉が何かしたか?」
泰時「光吉は京の西面武士、藤原秀康の弟です…つまり京からの間者…」
義村「何⁉︎ 間者とは…奴の目的はなんだ?」
泰時「わかりませぬ…しかし、逃げたとなると、何か動きがあるはず。」
義村「今は…鎌倉殿の右大臣就任。それと光吉がどう関係するのか?」
泰時と義村は考え込みました。
一方、公暁(くぎょう)は鶴岡八幡宮(つがおかはちまんぐう)で参籠を続けていました。
祈祷をしている公暁に暗闇から声が聞こえてきました。
暗闇の声「実朝は右大臣になり就任式がある。そこが狙いだ…」
公暁「……実朝の人柄は優しい。その実朝が父を殺したと思えぬが…」
暗闇の声「いまさら何を言う⁉︎ そなたの父、源頼家(みなもとのよりいえ)を幕府から追い出し、暗殺を命じたのは実朝だ!」
公暁「………」
暗闇の声「右大臣就任式の詳しいことがわかったら、また来る…」
暗闇の声が消えました。
公暁は不安になっていました…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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