諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
「朕の宝剣は見つかったか?」
1218年1月、京の御所に来ていた泰時に牛車から声をかけたのは後鳥羽上皇(ごとばじょうきょう)様でした。
後鳥羽「金剛…いや泰時であったな。」
泰時「はい、覚えて頂き、ありがたき幸せにござります。」
後鳥羽「将軍の後継ぎのことで参ったか…鎌倉も大変だの〜」
泰時「将軍は精進しております。鎌倉は安泰なればご安心のほど…」
後鳥羽「ほう〜、強気じゃの。まあ後継ぎのことは考えてやろう。ではまたな。」
上皇様はそう言うと、牛車の小窓を閉めました。
泰時は上皇様の牛車を見送りました。
泰時は牛車の周りには護衛の武士が気にかかっていました。
泰時「あの武士たちは…」
すると、
「あれは西面武士(さいめんのぶし)です。」
泰時が振り向くと、そこには輝(てる)がいたのです。
泰時「これは輝殿、お久しぶりです。」
輝「西面武士は後鳥羽上皇様の身辺を護衛する武士集団です。」
泰時「かつて北面武士(ほくめんのぶし)は聞いたことがあるが…」
輝「新たに上皇様がお作りになったそうです。」
その西面武士の中で泰時は気になる人物がいました。
『あの武士…どこかで見た目つきに似ている…』
輝「…あの武士が気になりますか?」
泰時「…これは…見ている方向がわかりましたか?」
輝「えぇ、あれは藤原秀康(ふじわらのひでやす)というものです。」
泰時「藤原秀康…」
輝「秀康は元を辿ると和田義盛(わだよしもり)の一族に繋がるそうです。」
泰時「なんと!」
輝「義盛の甥の子が秀康。」
和田義盛さんは北条氏と戦って滅びたんだよね。
泰時はなにやら不穏なものを感じました。
しばらくすると政子様が御所から出てきました。
政子「泰時、光…いや輝も一緒でしたか…」
泰時「叔母上、藤原兼子(ふじわらのけんし)様とのお話はいかがでしたか?」
政子「えぇ、順調です。ところで泰時に会いたいという方がいます。すぐ御所に行きなさい。」
泰時「私に会いたい?それはどなたですか?」
政子「後鳥羽上皇様の御子、土御門上皇(つちみかどじょうこう)様です。」
土御門上皇さんは弟の順徳天皇に譲位して上皇になったんだ。
泰時「私に…いかなることでしょう?」
政子「私は先に六波羅に戻ります。これも経験です。しっかり上皇様のお話を聞きなさい。」
泰時は訳がわからないまま、土御門上皇様の元へ行ったのです…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
にほんブログ村
宜しければバナーをクリックしてね