世は群雄割拠の戦国時代。
わしは北条氏康(ほうじょううじやす)です。
ダンッ!!
矢文って書状を弓矢を使って遠くへ放ち送る方法なんだよ。
綱成の嫡男・康成(やすしげ)は矢文の書状を読み烈火の如く怒りました。
康成「なんたる無礼、傲慢な文じゃ!」
綱成「いかがいたした?」
康成「父上、武田信玄(たけだしんげん)からの矢文です。」
綱成は矢文を読みました。
矢文には…
「今回、出陣したのはこの城が欲しいわけではない。北条と雌雄を決するためである。そもそも武田と北条は友好な関係であった。
関東の武将らが上杉輝虎(うえすぎてるとら)に従い、小田原城(おだわらじょう)に攻められた時、武田の加勢で難を免れた。北条の安泰はすべて信玄の軍の犠牲によるものである。
しかるに今川氏真(いまがわうじざね)は骨肉の因縁を忘れ、上杉輝虎と同心し武田の滅亡をはかったので堪忍ならず駿河へ出兵した。
それを氏康ごときが妨げ、得ることはない。戦いが長引いても不便であるので、武田と北条、ここで一挙に勝敗を決しようではないか。
城中から小田原に援軍の催促をされたらよかろう。その使者は小田原まで送り届けよう。」
実際の矢文はかなりの長文なんだ。これは略し直したんだ。
綱成は矢文を読み、笑みを浮かべました。
康成「父上、何がおかしいのです⁈ 」
綱成「信玄、北条を恐れておる。」
康成「なんと⁉︎」
綱成「雌雄を決したいなら、一気に攻めてくるはず。なのに矢文など出して降伏を促がすのはなぜだ?北条と戦ってただで済むわけないと思ってるからだ。」
康成「確かに…ではこれは強がりと?」
綱成「強がりではないが信玄は和睦を探っているのであろう。」
そこへ忍びの美咲(みさき)が戻ってきたのです。
美咲「殿、今、殿がおしゃったとおりでございます。」
綱成「やはりか…」
美咲「信玄公が密かに殿にお会いになりたいとおしゃってます。」
康成「一体、何のことですか?」
綱成「康成、後ほど話す。これは大殿からの密命なのだ。美咲、案内せい。」
綱成は密かに信玄に会いに行きました。
その場所は深沢城から離れた古びた民家でした。
信玄「久しぶりじゃな。塩商人…いや綱成」
つづく…
次回をお楽しみに〜
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