【コンサート】クリスティアン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル | ひでのブログ

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おもいうかんだことをいろいろかきます

まさに至福の時間であった。

プログラムは
「版画」ドビュッシー
「前奏曲集第1巻より」ドビュッシー
「9つの前奏曲作品1より」シマノフスキ
「ピアノ・ソナタ第3番ロ短調」ショパン
会場は
すみだトリフォニーホールである。

いずれの曲も完璧な演奏だった。
声部の扱い,響き,テンポ,構成など,
それぞれの要素としてはユニークな演奏であるには違いないのだが,
極めて高度な技巧と豊かな知性・構想力が,
全体を統率しているために,
恣意性などを微塵も感じさせず,
徹頭徹尾圧倒的な説得力を持って聴き手を虜にするのだ。

特筆すべきはその弱音である。
曲中でテンポを落としたり,休止を長めにとるなどして,
まるでたばこの煙をくゆらすように,
響きを楽しむ箇所が幾度と無くあった。
それでも曲がだれないのは,
高度なリズム感と技巧が基礎にあるからであろう。
とくに「帆」,「沈める寺」,ソナタ第3楽章。

「西風のみたもの」,ソナタにおける急速なパッセージにおいては,
そのスピードを維持しながらも,
すべての音がはっきり聞き取れる驚異の解像度である。

なかでも白眉はソナタの第3・第4楽章であろう。
ただでさえ単調で退屈になりがちな第3楽章を,
彼はさらにゆっくり弾くのだが,
旋律線を極端に強調したアルトとバリトンの二重唱になっており,
それがまるで時間を忘れたような感覚にさせる。
しかし,その音色はあくまで醒めているのだ。

対照的に,第4楽章はある意味で悪魔的,諧謔的な演奏である。
右手の軽快な旋律と左手のうごめく不気味でさえある音型の対比が,
圧倒的な効果を上げ,ソナタは大団円を迎える。
そのすばらしさに思わずにやけてしまった。

書きたいことはやまほどあるが,これぐらいにしておこう。