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レッスン ①
レッスン ②
[例文]
京都旅行で旅館に泊まった,生粋の東京人である「東 京一(あずま きょういち)」は,夜になって布団を敷きにきた女性に何だかんだと話しかけました。
女将さんの姪の「京子」さんという人で,時々,アルバイトで働いているようです。
京子:お客さん,京都は初めてどすか?あした休みやし,うちが案内したげまひょか。(1)
京一:ええっ,いいんですか(ラッキー)!
(翌日)
京一:その指輪,ダイヤじゃないの?
京子:そうどす。ちょっとかってきたんどす。(2)
京一:ええっ!かなり高そうですけど,自分で買ったんですか?
京子:叔母からかってきたんどす。出かけるときは,いつもそうしてるんどすえ。(3)
京一:(ええっ!出かけるたびに,叔母さんからダイヤの指輪を買ってるのか,この子は…?)マジですか?随分金持ちなんだ。
京子:うううん,そんなことあらへんよ。うち,まだ学生やさかい。(4)
京一:???・・・。
[日本語訳]
(1)お客さん,京都は初めてですか?明日休みですから,私が案内してあげましょうか。
(2)そうです。ちょっと借りてきたのです。
(3)叔母から借りてきたのです。出かけるときは,いつもそうしているんですよ。
(4)いえ,そんなことはありませんよ。私,まだ学生ですから。
[親切な解説]
(1)「うち」は,「私」という意味の女性言葉です。少しくだけた言い回しの言葉ですので,使うと怒られる家庭もあります。
「まひょか」は,「ましょうか」という意味ですが,発音の際に語尾を上げると第三者への問いかけ,下げると自分に言い聞かせる言葉になります。この辺りは,高度な聞き分けの能力が必要ですので,詳しくは説明しませんが,今回は,第三者への問いかけですから,語尾を上げて喋ります。
(2)(3)「かってきた」は,日本語では「買ってきた」となりますが,京都弁,さらには関西地方では,「借ってきた」ということです。今回の例題では,この言葉の解釈の違いから,話がかみ合わなくなっていますね。
ちなみに,「買ってきた」は,京都弁では「こう(購)てきた」と表現します。
(4)「うううん」は,こうして活字にすると紛らわしい言葉ですね。「うん」が付くので肯定語のように思ってしまいそうですが,否定語で,「いえいえ」のような意味です。
「あらへん」は,「ない」という意味で,もう少し丁寧な言い方をしますと「あらしまへん」となります。
「さかい」は会話の語尾によくつかわれる言葉で,「ですから」という意味です。基本的な言い回しですので覚えておきましょう。
京都弁通信講座,第3回はいかがでしたでしょうか。
同じ単語で,日本語と京都弁で意味が違うことがありますから,話がかみ合わなくなりましたら,早目に確認することが大切ですね
