しちふく先生のブログ。先生のような獣医さんばかりだったら「動物」が嬉しいだろうな。
人も動物も「医療」ってなんだろう?
父の主治医は10年以上、父に寄り添ってくれました。父も絶対の信頼を寄せていました。
先生が転院する病院にくっついて行ってました。
父の死因の原因ともなった疾患の担当医は、主治医となって間もないこともありましたが近くの大学病院から週1回出向している先生でした。
心臓の主治医と血管内科の主治医とで綱引きのようになってしまいました。
父の身体のことを熟知し父の性格も私たち家族のこともよく理解している主治医・・・新薬を試したい主治医。
私は新しい薬には反対でした。心臓のチームも「反対。心臓にダメージが起きる」それでも「この病気なんだからこの薬でしょう?」と押し切られました。
もちろん最終的には父が決断したのです。
なので先生たちを責める気持ちは全くありません。
どんどん患者と家族が置いてきぼりになる治療。
母の今回の癌の主治医も同じでした。
最初の診察の時、母の顔を一回も見ずに渡されたCT画像だけを見てあっさりと「余命宣告」しました。
「じゃあ、来週検査入院ね。」
翌週私が呼ばれた時も私の目を見ずにカルテと映し出された画像だけを見てさらに短い余命を「僕の直感で」と言い放ちました。
在宅医療を決めていたので気にはなりませんでしたが「こんな医師に母の命は預けられない」と思いました。
これからどうなるんだろうか・・・そんな思いで自転車での帰り道「医療ってなんだ。医者ってなんだろう?」と考えていました。
病院と在宅医療の医師や目的がまるで違うのは承知していますが、在宅医療の先生は常に母に「どうしたい?」と問いかけていました。
そして私にも「お母さんの意思を一番に尊重します。」と言っていました。
最期まで「どうしたい?」と聞いていました。
母は「苦しまないならなんでもいいから」といつも答えていました。
「それは大丈夫だからね。安心して。」
その言葉に母も私も救われました。
人にとっては医師が、動物の飼い主にとっては獣医師は大切な家族の命を預ける人です。
医学はどんどん進んでいきますが、医師や獣医師はどうなんだろう?
動物は飼い主さんの気持ち一つで身体にも影響が出ます。
動物と飼い主さんは一対(いっつい)です。
どんな状況になっても飼い主さんが笑っていられる・・・笑えないまでも安心できていれば動物も安心します。
動物が喜ぶ治療は「治る治療」ではありません。
飼い主さんが心から安心し穏やかでいられる治療なのだと思います。
それを理解していても行動している獣医さんはどれほどいてくれるのでしょうか?
陽だまりのしっぽ 美香