永 遠 | とまり木

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夫が亡くなる直前のことでした。

長男が夫が使っていたデスクが欲しいと言いだしました。

夫も殆ど使わなくなっていたし、処分する予定だったので中身をざっと見てそのまま放置していた物でした。長男が引き出しの奥の方からこんな物を見つけました。





私たち夫婦の結婚指輪です。

訳あって私が真っ二つに切り、夫に投げつけた指輪を夫が自分の指輪とくっ付けて取り置いた物でした。

投げつけた直後から夫婦関係はギクシャクしはじめました。事実上の家庭内別居状態が夫の透析が始まる直前の10年間以上続きました。

そんな過去もあったので私は夫が亡くなるまでの5ヶ月間、意思疎通ができない夫の心の中が知りたいと思い続けていました。



夫は結婚当初から仕事の作業に影響があると言って指輪は外しており、いつの間にか指輪を無くしたと言っていました。

無くしたはずの指輪と真っ二つにして投げつけた指輪。もう二度と目にすることは無いと思っていました。

あのままデスクを処分していたら誰も気づかずに捨てられてたのに…。

これを見た時は本当にビックリしたのと同時に、死の直前に夫の本当の気持ちに出会えた気がし、嬉しくてしばらく涙が止まりませんでした。



子供たちと

『お父さん、憎いことするね。カッコよすぎるわ』

なんて言いながら繋がった指輪を握りしめていました。





亡くなる5日前、意識のない夫の手をとり、もう一度永遠を誓いました。

僅かに夫の指が動いたような気がしました。