先日は大ホールでのホール練習の後、ジョナタン・フルネルのリサイタルへ。
ここのところ謎の腹痛に襲われていたのだけど、ホール練習後はお腹も落ち着いていたので、当日券でコンサートに行くことにルンルン

プログラムにフランクの『前奏曲、フーガと変奏曲』(発表会で弾く曲)が入っているのもあり、聴きたかったのです。


ジョナタン・フルネルは、2021年エリザベート王妃国際コンクールで1位になったピアニスト。
(この時の3位は日本人の務川慧悟さん、4位が阪田知樹さん)


ジョナタン、素晴らしかった!!
生で聴くのとYouTubeで聴くのとはまた違う。
最近聴いて衝撃的だったカントロフに並ぶ、素晴らしいコンサートでした。
カントロフは何処か野生味がありミステリアスな感じがするのだけど、ジョナタンは瑞々しい野生児。
ピアノを弾く事を全身で楽しんでいるのが伝わってくる。

前半のベートーヴェンとシマノフスキがとくに素晴らしかった。
(前半からブラボー飛んでました)

ベートーヴェンは、ジョナタンのアイディアが沢山詰まっていて、瑞々しさもあり素晴らしかった。
肘を起点に鍵盤に対してほぼ垂直に入るフォルテが印象的。
これは私が学んでいる奏法とは違う弾き方だけれど、彼の思うベートーヴェンのフォルテなのでしょう。
その後のシマノフスキ、そして最後のショパンでは全く違うフォルテ(腕全体を使う)になっていました。

シマノフスキは本当に見事。
怒涛のように激しい海原のようでありながら、冷えて張り詰めた空気や静けさを感じる。
低音の轟や高音の美しさに圧倒されました。

後半のフランクは、あっさりサラサラと弾かれていた。
彼の父親はオルガン奏者とのこと。
オルガンで弾くような壮大な演奏になるのかと思っていたので予想外でした。
この曲、左手と右手の交差、どこまでを左手で取るかなど人によって違うのだけど、ジョナタンは右手で弾ける部分は可能な限り右手で弾くという感じ。
今回はフルネル編曲という事で、私が使っているバウアー編と違い、フーガ前のカデンツァ部分の上昇する音形など省略されていた。

ショパンのソナタ第3番は、弾き慣れている感が出てしまっているところもあるけれど、聴衆の期待に応えるかのようなデュナーミク、素晴らしい演奏でした。

日本(とくにコンクール)では聴くことの出来ない自由さや伸びやかさがある。
私はそういう演奏が好きラブ
それなのに、自分も演奏する時には枠に収まろうとするところがあるのよねタラー(前の記事参照→『心を燃やせ』)


国際コンクールで入賞し、その後アーティストとして活躍していくには、やはり先生方に"良く弾けている""良く考えられている"と言われる演奏よりも、もっと違う次元、ステージでの圧倒的な才能の提示が必要なのだなと納得。

フワァ〜〜ッとなってキラキラッとしてドドーーンときてワワァァーーーとなったりキラキラ(語彙力)
彼は天才だと思うし、その才能を発揮するための技術も素晴らしい。
ウナコルダでフェルトが弦に良い具合に触れるあの音、好きだわぁ照れラブラブ
トリルも美しいキラキラ
ここはこんな風に、で、ここはこうきたり〜と楽しそうに色んな事を盛り込んでいながらも、気を衒わず、技術力と構築力でまとめあげ、全体として品がある。

アンコール
バッハ(ジロティ編)前奏曲 ロ短調
バッハ(ケンプ編)主よ、人の望みの喜びよ

能登半島地震で被災された方々への祈りのように聴こえた。

まだ若い。これから先も楽しみなピアニストです。
また来日する際には是非聴きに行きたいニコニコピンク音符