外国語の本は、勝手にタダで翻訳出版できる!? | 富山県射水市の“広報書士”【ひばり行政書士事務所】

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普通、海外の本を翻訳して出版しようとすれば、その著者、もしくは著作権を管理しているエージェントに連絡を取り、翻訳の許諾をもらう必要があります
その場合、著者が「タダでいいよ」と言ってくれれば無償で翻訳できますが、通常は、著作物の利用料として、金銭を支払うことになるでしょう。

勝手に翻訳出版したら、著作権侵害となります。

現行の日本の著作権法では、27条に、

著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

と定められています。



ところが、著者にもエージェントにも断らず、勝手に、お金も払わず、翻訳して出版できる場合があるのです 



結論から言いますと、
今から45年前、昭和45年(1970)以前海外で出版され、
現在まで日本で翻訳出版がなされていない本については、
可能
なのです。

どうしてかというと、これには・著作権法の規定が関係しています。

著作権法7条
著作権者原著作物発行のときより十年内に其の翻訳物を発行せざるときは其の翻訳権は消滅す
前項の期間内に著作権者其の保護を受けんとする国語の翻訳物を発行したるときは其の国語の翻訳権は消滅せず

つまり、発行時から10年たつと、翻訳権が消滅する、という規定です。
これと、附則の第8条

この法律の施行前に発行された著作物については、旧法第七条及び第九条の規定は、なおその効力を有する。

とがあいまって、現行著作権法の施行前に翻訳権が消滅した(10年たった)外国語著作物については、その翻訳権は復活せず、消滅したままになることが決まったのです。


現行著作権法が施行されたのは、昭和46年(1971)1月1日です。
従って、これより前に翻訳権が消滅したものが、対象となっているため、上に書いたような結論となるのです。

これを「翻訳権の10年留保」と呼ばれています。


日本がこの制度を採っていることは、実は外国にはあまり知られていないので、無断で翻訳した際、時々クレームが来るそうです。

しかし、これは法律上認められた、正当な権利なので、堂々と翻訳することができます。


まあ、昔は、外国の本をどんどん日本語に翻訳して、学ぶ必要があったから、こういう制度が求められたのでしょうが、現代にはマッチしませんね。

それでも、まだ日本では知られていない、昔の名作を日本語で出版したい、という場合には、使える規定かもしれません。


ずっと昔の古典なら、そもそも著作権が切れているので、ここまで考えなくてもいいのでしょうけれどね。