好きっていいなよ、と言われたら、みなさんはどう反応するだろうか?
そんな上から目線で言われたらねえ・・・。
「俺は松屋で飯を食って帰るから、お前は各駅停車で帰れ。」としかいいようがない。
しかし、信じられない話ではあるが、そんなタイトルの映画あるらしいじゃないの!!
マジで!?
いつもであれば素通りする処ではあるが、暇なら燃やす位あったので見てみました、好きっていいなよ。
少女漫画が原作の本作。
16年間ずっと彼氏も友達もいなかった橘めい(川口春奈)は、ある日、学内随一の人気者・黒沢大和(福士蒼汰)に怪我を負わせてしまう。大和はめいの反応を気に入って友達宣言をし、彼女のピンチを救うためにキスをする。大和と一緒に過ごすうちに、めいは喜びや嫉妬、悩みなどを味わい、たくさんの初めての経験をしていく……。
という、書いていて頭を抱えたくなるあらすじなのだった。
AVの予告みたいなモッサリしたBGMに乗せて、イケてる高校生たちが送る、恋、友情、悩み。
学校以外は基本的にshibuya(渋谷)に常駐し、ワッフルなんかを召し上がるという・・・・
まさに地獄の釜の蓋が開いたといっても過言ではない、ハイスクール・インフェルノ。
男子校というムショのような高校生活を送った俺には無縁の話であった。
だが、俺もいい年になった。
文句ばっか垂れるのは、誰にでもできる。
例えば、俺がいつも見るような映画。
そういうエッセンスがあれば、どうなったか。
そもそもジャンルが違うじゃねーか!!という意見は、この際無視して、今回は男なら真似してはいけない好きっていいなよについて、アレコレ書いてみたいと思う。
1.イケメンコンテスト
OPから始まる文化祭のイケメンコンテスト。
ここで福士蒼汰演じる大和くんが登場する。
ニヤけ面で。
そりゃあ女子がワーキャー歓声を送っていたら悪い気はしない。だが、そのニヤけ面は何だ⁉︎と言いたくなる。
イケメンの定義というのはサッパリ分からないが、少なくとも俺の辞書に女子の歓声にニヤニヤするのが良い男という項目は存在しない。
思わずレッドブルのオープニングを見習え!と言いたくなる。
当たり前だよ!) 、その場で燃やせばいいにも関わらず、手元に残していたのだった。
2.ステイサムみたいなヒロイン。
川口春奈演じるめいちゃん。
かつて小学生の頃にウサギ殺しの冤罪をかぶり、それ以来、周囲に壁を作る16歳の女子高生。
携帯にはバイト先と母親の番号しか登録のない、ステイサムばりのストイックさであった。
奇しくもジャンルが違うトランスポーター3のステイサムはヒロイン説 を好きっていいなよは証明した!多分!!
3.大和ファミリー。
劇中、ダチを連呼する大和君。
その気になるグループ構成を紹介しよう。
・上から目線で「あの学校の女子ブスだよな~」とホザく男子A
・カジュアルにラブホに行く以外全く個性のない男子B
・口が悪い割に地味な女子A
・巨乳じゃないにも関わらず巨乳と言われれる天然気味な女子高生B
しかも女子二人は大和君がすでにキス、もしくはセックス済みなのだった。
というか大和君は全校の女子とキスした経験のある豪の者であった。
他の野郎二人は女子二人に気があるものの、それを容認済みという。
カルト教団の教祖か!?お前は!!
スタローンに土下座しろ!!
と思わず大和君に言いたくなる。
例えばロッキーではスタローンはエイドリアンのいるペットショップに1か月近く通っていた。
キスをするなら、これ位の誠意を見せてほしいもんだ。
で、まあどいつもこいつも「恋愛とは~」みたいな、上から目線で知ったようなことをホザくに至って、もし同じクラスだったら修学旅行では間違いなく別行動だったろうなあという気持ちになるのだった。
やはり、この高校に必要なのは、スタローンだ。
4.大和くんVSストーカー!
ストイックなステイサム系女子のめいちゃんであったが、ある日大和君に放った蹴りのおかげで、強引に携帯番号を書いた紙を渡されてしまう。
しかしめいちゃんはトランスポーターではないので(ある日、バイトを終えためいちゃんだったが、常連の客から待ち伏せ&尾行 というストーカー行為によりピンチに陥る。
母親に電話しても留守電だ。
仕方なく大和くんの番号にSOSを放つメイちゃんだった。果たして、どう男を見せるんだ、大和くん!と否が応でも期待が高まる。
しかし、答えは斜め上から来た。
キ…キス⁉︎
これがステイサムだったら、どうだろう?
そう、ストーカーを諦めさせる為に路上でキスをする大和くんであった。
いや、待て。
そこは殴る所だろう!
完全にオマエ、キスする口実が欲しかっただけじゃねーか!と。
ブリッツみたいに「俺とやるなら武器を選ぶんだな」とか景気の良い一言を最後に言い放って。
しかもストーカーはストーカーで、2人のキスを見てスゴスゴ退散するのだった。
お前もお前だ!
報復しろ!!と。
タクシードライバーのデニーロを見習え!と気がつけばストーカーにも説教したくなるのだった。
5.ヴァンダム(廻し蹴り)で落ちた恋
俺も気がつけば永田雄志ばりに白目になっていたので、詳細は分からんが、いつの間にか二人は付き合っていた。
しかし、女子高生Bが大和くんと肉体関係にあったと知っためいちゃん。
次第に大和くんへの態度も硬化していた。
そりゃそうだ。
そんなめいちゃんを察し、曰く、「俺ねえ廻し蹴りに惚れたんだよ」と言い始める。
もうお前は何を言ってるんだという話だが、俺は唐突に思い出した。
それヴァンダムじゃん!!
劇中の無駄なハンサムぶりを観ると、もしかして大和君はヴァンダムが好きなのかもしれない・・と思ったのだった。
6.訳アリの過去
で、めいちゃんはウサギ殺しの冤罪を被った辛い過去があったわけだが、大和君にも実は辛い過去があった。
かつて仲の良 かった友人を裏切り、いじめに加担していた過去を告白する。
それが今でも心に残り、「誰に何を言われようとも自分を貫いて、物おじしない姿勢。カッケーって思った」 のが惚れた理由なのだった。
なんだ、てめー!
ヴァンダム好きじゃなかったのかよ!
謝れ!!ヴァンダムに!!
とりあえずヴァンダムは置いとくとしてもだ。
それが辛い過去だと言われてもねえ・・・
正直、後乗せサクサク感が否めない。
キスする為の。
例えばステイサムのハミングバード。
これも訳アリの過去のあるステイサムとシスターが恋に落ちていたが、こっちはアフガンで無関係の一般人を5人殺した、ペド野郎を10歳で刺殺した、というヘビーな過去があったから説得力があった。
ともあれリアルだったら辛い過去かもしれないが、映画的に考えれば3分で忘れるような訳アリの過去なのであった。
6.とにかくキスする大和君。
この映画、全てを解決するのがキスだ。
何かしらで揉める→とりあえずキスする。
これで全てが丸く収まる。
恐らく、コマンドーばりに大和君が人を50人くらい殺しても、おそらくキスすれば全てを許されるんじゃねえか と思うほどだ。
かつてK1にロシアの速射砲ルスラン・カラエフという選手がいたが、本作の福士蒼汰はキスの速射砲であった。
先ほどの割とどうでもいい訳ありな過去を告白した後、大和君は言う。
「なんかしたくなっちゃった♪」
「したくなっちゃった♪じゃねえよ!!」と観る者に思わせるのだが、お構いなしにキスする大和君。
「今のは挨拶代わりのキス」
「今のはかわいいなと思ったキス」
「今のは進展したいなと思ったキス」
「今のは目の前にいる人に対しての気持ちのキス」
計五回した上にラストはこれだ
「本気チューしちゃうぞ♪」
カンカンカーン!
試合終了のゴングが鳴った!!
俺は「エイドリアーン!!」 と満員のマディソンスクエアガーデンでエイドリアンの姿を探すのだった。
こう書いてしまいたくなる俺の気持ちを理解していただけるだろうか。
そして、しまいには「俺を好きになって、わけわかんなくなって、めちゃくちゃになってしまえ!」 である。
いや、お前は中途半端なフレンチなキス位で何を言ってるんだ、と。
このセリフは中華街のど真ん中で青姦を決めたアドレナリンのステイサムしか言えねーよ!!
大和君にはアドレナリンを500回観て、「わけわかんなくなって、めちゃくちゃになる」の意味について考えて欲しくなったのだった。
7.リベンジャー海君、登場!!
そんな訳で、キスと斜め上な回答という、力技でめいちゃんとのカップル生活を納めていた大和君。
無事2年生に進級するも、金髪のイケメンが入学してきたとの報が入る。
学校随一のイケメンとして聞捨てならない。
偵察に向かう大和君だったが、それは何と件の裏切った同級生であった。
さぞかし骨のある野郎なんだろうな・・・とグロッキー寸前だった俺も身を乗り出した!!
彼の名は海君。
なんとイジメられた報復を遂げるために留年してまで体を鍛えたという。
いや、待て。
それで!?
体を鍛えたというより、髪を立てるのに1年掛けたんじゃねーのかと思わずには居られないのだった。
これでは鈴蘭高校でも生きてはいけないぞ・・・と。
結局、復讐する計画をステイサムなめいちゃんに明かすも「復讐は虚しい」 という説得であっさり諦め、むしろ恋敵として立候補するのだった。
何だったんだ、お前の1年は・・・
エクスペンダブルズで体を鍛えた上にタトゥーまでバリバリに入れたスタローンを見習え!もう一年留年しろ!と失望したのだった。
ここから、更に大和君がモデルデビューしてめいちゃんがヤキモキするなど、話が続くのだが、俺の解説には意味がない。
そう、全てはキスが解決するからだ。
オールユーニードイズキス。
乱暴ではあるが、そういう事です。
2014年公開の本作。
興行収入11億円を記録し主演の福士蒼汰は第38回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞したという。
大丈夫か、日本!!
という気持ちになったのは言うまでもない。
今も昔もモテた試しのない俺が言うのだから、これは負け犬の遠吠えとも言えるもしれない。
だとしてもだ。
モテたい気持ちは分かるが、モテるより大事なサムシングがあるんじゃねえか、と。
えーなんだ、気持ちを拳で語るとか。というわけで、もし続編があるなら「命を貰いに行くぜ」というタイトルにして欲しい。
スタローン主演で。
命を貰いに行くtwitterアカウントは、こちらから→@eroerorocknroll