「生きてて良かった。」
人一倍適当に生きてきた自信がある俺だが、そんな風に思えた映画がある。
エクスペンダブルズ。
アクション斜陽の時代にスタローンが放った暴力と爆発多めの同窓斜陽つながりで、このブログも気がつけば3年。
・・・というより今まで陽が昇ったことなんてなかったよ!一度も!! と思わざるおえない。
そんな俺の気持ちは置いといて、今回は記念として俺の心の一本、エクスペンダブルズを紹介します。
シリーズを重ねるたびに映画ではない何かに進化していったシリーズの第一弾。
スタローン、ステイサム、ジェットリー、ドルフラングレン、ブルースウィリス、アーノルドシュワルツェネッガー・・・・ という、このキャスト。
改めて字面に書いてみると、胸やけしそうになるキャストである。
ともあれ公開当時、アクション映画ばかりを見ているようなバカ・・・つまり俺にとっては、ちょっとした一大事であった。
というか現実感がなかった。
冷静に考えて欲しい。
このキャスティング自体が、中学生が昼休みに思いつくようなもんである。
果たして映画として実現するのかと。
公開まで半信半疑だったのは言うまでもない。
だが、そこはスタローン。
自ら監督、脚本、主演を務め、この一大イベントをやってのけた。
誰もが抱いたであろう不安を劇中のように粉々に吹き飛ばしたのだ。
事実、いざ蓋を開けると、劇中「yeah!」と言いたくなる瞬間が100回はあった。
観た後、「生きてて良かった。」と思った映画は、後にも先にもない。
それから仕事で失敗した時、風邪で身体が動かない時、邦画のしょうもないラブストーリーを見た時…などエクスペンダブルズを見返してはカラ元気を頂いたもんだ。
しかし悲しいかな、周りで元気がない人がいれば男女問わず「…まあ、エクスペンダブルズでも見なよ。」 などとススメては心底嫌な顔をされるのだった。
どうやら俺の入れ込み具合とは対照的にエクスペンダブルズは、「バカ映画」 とか「中身のないスッカラカンの映画じゃねーか」と世間では思われてるようだ。
中身中身言われますが、そんなねえ、たい焼きじゃねえんだから。
しかしエクスペンダブルズにおいて中身がない!なんて認識はビッグな間違いである。
俺としては「むしろ中身しかない!」と言い切りたくなるわけですよ。
そんな「中身しかない!」な、あらすじ。
スタローン率いる傭兵部隊、その名もエクスペンダブルズ(消耗品軍団) 。
命知らずのガイのみが入隊を許される男塾であった。
今日もソマリアの海賊との交渉に赴いた面々。
しかし、このメンツで交渉というのが無理があった。
間違って放たれた弾丸を合図に始まる銃撃戦。
だが、そこはエクスペンダブルズ。
なんやかんや海賊を皆殺しにして場を丸く収める。
のっけから期待にそぐわぬ仕事ぶりであった。
そんな向かうところ敵なしの面々であったが、それぞれメンバーは大なり小なり悩みを抱えていた。
そこらへんのアンちゃんに彼女を寝取られたステイサム。
金にガメついジェットリー。
勇み足が玉に傷なドルフ・ラングレン。
セラピー通いのナイーブゴリラ・ランディ・クゥートア。
悩みがないのが逆に悩みなテリークルーズ。
今回の仕事のおかげでラングレンもクビにするなどスタローンも苦労が多い。
スタローンがミッキーロークの店に足しげく通うのも無理のない話であった。
だがスタローンに休む暇はない。
CIAのウィリスから「南米の軍事政権を潰せ」という、無茶にもほどがある依頼が舞い込んでくる。
同業のシュワは速攻で降りるものの、負けず嫌いなスタローンは仕事を引き受けてしまうのだった。
そんなわけで絶賛失恋中のステイサムと野鳥観察員という、いくら何でも無理のある変装で潜入するスタローン。
お陰さまで、あっという間にバレてしまう二人だったが、お駄賃と言わんばかりに部隊を一つ壊滅させトンボ帰りするのだった。
しかし、スタローンには気がかりが一つあった。
案内役の女が島に残ったのである。
まさかの地元愛を見せつけられ唖然とするスタローン。
「なぜ彼女は残ったんだ・・・」と地元愛を理解できずモヤモヤする日々。
結果、ミッキーロークの要点が掴めない自分語りを聞き、再び島に向かうのを決意!
果たして、そこに答えはあるのか?
こうしてスタローン率いるエクスペンダブルズは史上最大の戦いに身を投じるのだった…
このエクスペンダブルズ、何がいいと言われれば、何処を見渡してもタフな奴しかいないところだ。
確かに見た目はタフ以外の何物でもないのだが、ちょっとした悩みを抱えつつも、精神がタフなのだ。
何も形だけの慰めの声をかけるだけが仲がいいとは言わない。
誰もが深刻な悩みを敢えてジョークで笑い飛ばすエクスペンダブルズの面々 。
失恋直後という、足に来ているようなステイサムのハゲをいじったかと思えば、頭にクモの巣のタトゥーを入れさせてくれと空気の読む気のないミッキーローク。
ステイサムが「俺の恋、どう思う?」と聞かれても「さあ。」と全く興味のなさを隠す気のないスタローン。
どいつもこいつも話を全く聞く気がないという・・・。
言ってしまえば、一度たりとも意味のある会話をしない仲。
何事もマジにならないぶっきら棒さ。
かと思えばスタローンが一人で任務に向かおうとすれば、何も言わず飛行機に乗り込んでくるエクスペンダブルズの面々。
これですよ。
そう、男たちに見せかけだけの言葉はいらないのだ。
普段は軽口を叩くものの、死地へ向かう時は一緒だ、という、この姿勢。
男なら明日から真似したくなる姿勢だ。
やがて男たちの『言葉で四の五の言わない友情』は銃弾と爆発となり、そこかしこで死体の山を築く。
ズットモとか腑抜けたことを抜かす前に、一国の軍隊を壊滅させてから言え!!と見る者に教えてくれる。
このように報酬以上の仕事ぶりを見せつけるエクスペンダブルズ。
事実、2ではウィリスに「やりすぎだよ!!」とダメ出しされていた。
倫理的にはアレかもしれないが、映画としては正しいとしか言いようがない。
特に、一度は潜入がバレ、飛行機で逃げるスタローンとステイサムのシーン。
そのまま帰ればいいものの、何を思ったのか引き返し砲撃!!
空中からガソリンを散布し火を点ける「死の飛行」で、キッチリ落とし前をお釣りが出るほどつけるのだった。
このときステイサムが「yeah!」と言いながら披露するガッツポーズ。
スタローンも、それに答えて拳を上げる。
この一連の流れは、男なら一度は真似したくなる。
また、シリーズ通して若頭ポジションのステイサムだが、この頃から奮っていたのがわかる。
ハードな仕事終わりに彼女の家へ土産を持参。
「君の寝顔を見ているだけで幸せな野郎さ・・・」とステイサムにしか許されないセリフを玄関で放つが、彼女には他の男がいた、と。
「だって、3年も一緒にいるのにアナタの仕事すら知らないわ!」と言われ、「俺が舞い上がっていたよ。」とアッサリ踵を返す。
普通であればワーワー騒いで芋を引きがちだが、ステイサムは違う。
この引き際の良さ。
この姿勢は、男なら明日から真似したくなる姿勢だ。
あるいは、そんな彼女が浮気相手に殴られたと知ったステイサム。
浮気相手がバスケしている場へ、彼女とバイクにニケツで乗り込む。
「惚れた顔が台無しだ。」と言って、3on3ならぬ、拳を使った1on6を彼女に披露!
もれなく全員殴って一等賞のMVPぶりであった。
そして彼女に一言。
「これが俺の仕事だ」
全く説明になっていないが、彼女も頷くしかなかった。
だが、見る者の心にドリブル&ダンクを決めた瞬間であった。
もちろん、隊長であるスタローンも負けてはいない。
そのまま残れば殺されるであろう女が気になり、いよいよ敵地に再度乗り込むと。
理由は、見捨てられない男気か、女への恋心か・・・もしくは、その両方か。
そこら辺は全然明らかにはされないものの、男も女も惚れてしまうのは確かだ。
そんなスタローンだからこそ、他のメンツが言われてもいないのに一緒に敵地へ乗り込む。
特に最高なのが、スタローンの男の一問一答。
完全に首がキマッている状態で「おまえはタフガイか!」から始まる一連の流れ。
思わず、男塾の独眼鉄による「男とは何ぞや!?」と尋ねたシーンを髣髴とさせる。
そんな問いにスタローンは即答する。
Q.「雇い主は誰だ?」
A.「お前の美容室!」
Q.「仲間は誰だ」
A.「お前のママだ!」
この全く答える気がない姿勢は男なら真似したくなる。
男の一問一答は終わらない。
次は言葉ではなく、お互いの拳での一問一答へグレードアップ!!
ストーンコールドとスタローンのタイマンが始まる。
飛びつき腕ひしぎ、低空プレンバスター など持てる限りの格闘能力を駆使するスタローン!!
そして「かかってこい!!」と叫ぶや否や、ストーンコールドのスピアーを真正面から食らい失神するのだった。
馬鹿か馬鹿じゃないかで言えば、多分馬鹿なシーンではあるかもしれないが、これに震えない男はいないんじゃなかろうか、と俺は思ってしまう。
この後も鬼のような速さの銃弾リロード、砲弾狙撃で吹っ飛ぶ など、誰よりも体を張るスタローン。
結果、気のあった(であろう)女には自分の口座を教え、ハグだけで終わらせるのだった。
そんな活躍の割に見返りのないラスト。
戦いを終えたスタローンにステイサムが尋ねる。
「ひとつ言っていいか?」
「なんだ?」
「あんたのタイプじゃなかっただろう?」と返す。
微笑み、何も言わずに拳を合わせるスタローン。
これが答えだと言わんばかりに。
最後まで、男の一問一答に答えるスタローンだった。
他にも一度裏切ったドルを再びに仲間に入れるなど、シリーズ通してスタローンに一番男気があったといえる。
まあ、ドルの場合は一度弾丸を放ってから仲直りする必要があったとしてもだ!
思えば公開当時、スタローンはランボー、ロッキーを自ら監督し、己の映画人生に終止符を打つ雰囲気があった。
しかも今回は役作りにモノホンの入れ墨を入れ、「いよいよスタローンも映画人生を終わらせるのか・・・」 と痛く寂しい気分に勝手になったもんだ。
だが、同窓会は現在まで3まで制作され、次は4も公開が予定されている。
スタローンもいい年ではあるが、是非、入れ墨を入れた分の元を取ってほしいもんである。
感動。
それは何も難病モノの恋愛映画や、犬が死ぬ映画、地球が救われる映画だけから得られるものではない。
血と暴力、爆発と銃弾から得ることだって出来るのだ。
エクスペンダブルズは、それを証明した。
事実、エクスペンダブルズは画面が爆発しまくっているのに泣けてくるという、ゲシュタルト崩壊を見る者に引き起こす。
それはお前だけだよ!と言われるかもしれんが、少なくとも、こんな映画を最近の俺は見たことはない。
「俺たちはここまでやっている。お前はどうだ?」と画面のスタローン達が俺達に語ってくる!ような気がする!
もやしのような俺でも奮い立たずにはいられなくなる。
やれ筋肉映画だ何だと揶揄する向きがあるが、大事なのは、その精神性だ。
『メンヘラにエクスペンダブルズを見せれば治る』と俺は勝手に思っているのだが、これは医学会で是非検証が急がれる。さあ!早く!!
・・・とまあ、いつものようにスタローンとステイサムの話しかしてない気もするが、他のメンバーにもしっかり見せ所がある点、スタローンの監督能力の高さが見える。
やはり俺の思い入れを別にしても、スタローンは監督として過小評価されてるんじゃねえのか・・・なんて思ってしまう。
確かに80~90年代の映画で育った人間からすれば、同窓会チックな雰囲気があるが、一見さんお断りなんてことはない。
逆に言えば、ジャンル特有の知識やウンチクなどなくても楽しい点が「中身がない」 などと言われる所以かもしれん。
だが、ファン同士の上から目線が存在しないだけ、まだマシだ。
ここから、彼らが今まで歩んできた軌跡を追うのも楽しいだろう。
そういう敷居の低さもエクスペンダブルズの魅力の一つだ。
いい大人であればロジックがどうの~だの、いちいち意味を求めがちだ。
そういう小賢しいロジックやら意味だのを、エクスペンダブルズは言葉を使わずに生身で粉砕する。
この痛快さ。
これこそが俺の心を激しく揺さぶる理由の一つなんじゃいねえか、と。
生き方に迷ったら、とりあえずエクスペンダブルズを見よう。
思わず、そう言いたくなる、明日から真似したくなる漢の映画である。
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