軽トラは、小田原を抜け、箱根の峠道に入って言った。



     その車中で、父が言う



     「 かあさん、もう俺たち死んだ方が良いかな? 」



     常に何が起きてもポジティブに生きてきた父なのに、、、、



     しばらくの沈黙がある。



     峠道は、舗装はされているものの、



     所々に景色が眺められるようなパーキンク゛のような場所がある。



     軽トラは、そこで止まる。



     「 かあさん、このまま車ごと落ちようか? 」


     
     母が重い口を開く



     「 お父さん、もう一度頑張らない? 」



     「 なんで?もう無理だよ 」



     「 でも、この子たちには何の責任もないのに、かわいそう 」



     父は沈黙する、、、、、、



     すると、ぐっすりと寝ていた弟が泣き始める、、、、、



     もちろん、生後間もない為の夜泣きであった。



     母は言う



     「 ねぇお父さん、死んだつもりで、



     この子たちの為にもう一度頑張ろうよ 



     あきらめなければ、なんとかなるよ、きっと 」



     その後、軽トラはまた西へ向かって走り始めた、、、、、、



     




     この話を聞いたのは、20歳の時。



     私は、実感した。



     自分の知らないところで、自分の生死を決められていた、、、、




     あの時から自分は




           生かされたのだ、



     と。






-------今日の格言---------------------


          あきらめなければ、きっと何かが起こる。


          生きてることには、何か意味がある。


          その意味を探す旅こそが、人生と呼ばれる。


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 軽トラは、神奈川県に入る。


 
 大阪に向かう為に一般道を深夜走る。



 私は小さい頃から、背も小さく、体も細かった。 



 足も遅かったので、いつも全力疾走。



 おかげで、よく膝に怪我をして家に帰ってきた。



 そして、よく泣いた。


 
 そんな時、おばあちゃんがいつも言う



 「傷は痛いよねぇ、



 でも傷を怖がっていたら、速く走れないよ。



 小さい頃は、いっぱい傷を作るんだよ。



 そのうち自然と傷つかなくなるからねぇ」



 それからいつも私は全力疾走。



 今私の膝には傷がない。



 いつからか、膝にはきずがない。



 自然と傷つかない方法を学んだのであろう。



 今まで、人生でもいろんな方と出会い、傷も負った。



 常に全力疾走が私の生き方。



 最初、傷つき苦しんだ。



 しかし、今はその痛みに耐える方法を身に付けれた。



 全力疾走が私を強くしたのかもしれない。



 あとは、自分以外の痛みがわかるようになりたい。



 軽トラは、小田原に差し掛かる。



 その車の中で、父親はある決意をしていた。


 その決意が、私の人生を変える事になる。



-------今日の言葉---------------------


          まず、自分の痛みを知ることが重要である。


          そのためには、怖がらず進むことだ。


          そして、痛みを知ることで、人の痛みを知ることが出来る。


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 軽トラに乗って間もなく、私と弟は寝てしまった。



 お年玉の行方もわかり、気持ちよく寝たのだろう。



 その後の車中の会話は、母に聞いても教えてくれない。


 ただ一つ、教えてくれたのは、当時は行く先もなく、

 父が、「とにかく大阪に行ってみたい」 という言葉から

 車を西へ向けた、という事だけ、、、、、



 軽トラックは、家族4人を乗せ、西へ向かった。



 時は少し遡る。



 私のおばあちゃんは、甘党だ。


 何が凄いって、豚肉焼く時に砂糖使うんだから、、、


 でも、小さい頃はそれが好物。


 大人になって驚いたが、、、、、子供も甘いもん好き。



 その甘党の食事の中で、私の一番の好物は、、、




 「  ジャムバタートースト 」



 まず、食パンにバターの塗り、そのあと少し焼いて、

 バターが解けた頃にもう一度バターを塗って焼く。



 高カロリーとは、まさにこれ。



 そして最後は、焦げ目がついたトーストに、目いっぱい

 イチゴジャムを塗る。



 この味は、今になっても忘れない。



 でも、そんなトーストを見てある時、私は言った。



 「それ塗り過ぎじゃないの?ばあちゃん

  すぐジャムとバター無くなっちゃうよ」


 そう言った私にばあちゃんは言った


 「そうだね、塗り過ぎだねぇ、、


 ごめんねぇ、ばあちゃんは孫の喜ぶ顔を見たくて


 塗り過ぎちゃうんだよ」


 あとから聞いたことだけど、私は小さい頃パンが苦手

 だったらしい。



 小学生になれば、当時はほとんどパン給食。



 それを考えて、ばあちゃんが作ってくれた



 「 ジャンムバタートースト 」


 今の私は、ジャムバタートーストも、パンも大好物。



 もちろん、ジャムもバターも控えめだが、、、







 そして、軽トラは、東京都を抜け、神奈川に差し掛かる。



-------今日の言葉---------------------


       相手の優しさに気づくのに時間がかかる時がある

       分かり易い優しさ、分かり難い優しさ

       どちらも持つことが出来た時、

       親としてのスタートラインに立つことが出来る気がする


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 子供とは、時に脈略の無い事を話すものである。



 私は、長男の家の長男として生まれた為、



 お年玉は、毎年いっぱい貰っていた。



 親戚中の全て、と言っても過言ではない人達から



 頂いていた。



 小雨が降っている哀しげな夜に、私達家族4人は「夜逃げ」した。



 軽トラックの古びたワイパーがゆるやかに動いているのと

 生まれて6ヶ月の弟が夜泣きしていることが

 鮮明に記憶に残っている。



 その時、私は突然聞いた、、、、



 「ねぇ、お父さん。


 僕のお年玉はいつもらえるの?」


 一瞬の間が空く、、、、、、


 そして、答えない父の代わりに母が答える。


 「あれはねぇ、大人になったらまとめてあげるよ


 ちゃんととってあるからねぇ」



 私は納得して、眠りについた。



 しかし、今思えば、あの時私がした質問がどれほど

 両親を困らせたのだろうか?



 少し母には、申し訳ない気持ちが生まれてしまう。




-------今日の言葉---------------------


          嘘には、相手を傷つける嘘、と、相手を守り自分を傷つける嘘がある。

          しかし、そのどちらも誰かに傷を負わせる。

          出来れば嘘などつかなくて良い人生を送りたい。

          嘘などつかせる人生を送らせたくはない。


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 おばあちゃんが泣きながら言っている


 「ごめんね、ごめんね、


 ばあちゃんのせいで、こんな火傷して」



 それまで一度もおばあちゃんの涙を見たことがなかった、、、


 時は少し遡る。



 私は3歳の頃、台所にあった湯沸かしポットを自分で押してしまい、


 熱湯を自分の左足にかけてしまった。


 その後の私の叫ぶ声で、おばあちゃんは台所に駆けつけ、


 気が動転し、救急車を呼んだ。



 おばあちゃんは、その責任を感じ、病院ではずっと泣きながら

 私に謝っていた。


 いつもは強くて、優しくて、明るいおばあちゃんの涙。

 今でも、その光景が記憶にはっきりと残っている。




 素足が多くなる季節になり、左足を見ると思い出す。


 おばあちゃんに言ってあげたい言葉がある

 「もう気にしなくていいよ

 日焼けしたら、見えなくなるるんだから」



 その時の痛みより、おばあちゃんの涙が記憶に残っている。



-------今日の格言---------------------


         自分の痛みよりも、相手の気持ちの痛みの方が記憶に残る

         だから、相手に優しくなりなさい。


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