RELOAD #3 | UNION Hey! Say! JUMP×妄想小説

UNION Hey! Say! JUMP×妄想小説

JUMPくんに癒されている毎日です。
9人が好き!大ちゃんが好き!!
いのありコンビも好きなNatsukiが
JUMPくんの妄想小説を書いています。
登場人物は実在の方とは一切関係ありません。
ご理解いただけた方のみご覧ください。

今夜の空模様とは違うスカイブルーの屋根。


大きなガラスがはめ込まれたガラスの枠は真っ白。


その大きなガラスは雨に濡れ、晴れていたら外からでもよく見えるだろう店内に置かれたいくつもの花たちも今は少し曇って見える。





マスターの言葉に背中を押された恰好で走ってここへやって来た。


だけど、このあとどうすれば、・・・。

 


店の真ん前で一人悩む。



ここまで来て何やってんだ?

 

決まってるだろ?


入るんだよ。

 

一目惚れした人がいる店に。




マスターが言ったとおりに自己紹介しなくても、それでも自分の名前くらいは伝えたい。


そして”客じゃない”、と俺の直感が告げたあの赤茶色の髪の男が誰なのか知りたい。



大きな不安が自分を包む中、それでもここへやって来たんだ。

 

行くしかない。



「ええいっ!」


大きくこう言って少し雨に濡れた店の扉を開けた。




・・・、カラン、・・・、


扉を開けると小さな鐘の音がした。



『いらっしゃい。』


鐘の音のあとに聞こえたのは男の声。


見ると、店内の正面あるカウンターの向こうにあの赤茶色の髪の男立っていた。


『いや、いらっしゃい、・・・、って言うのも変か。俺はここの店員じゃないんだから。』


そう言い、赤や黄色、紫、・・・、いろんな色のいろんな花が散らばったカウンターの向こうから俺にニコリと笑った。



なんだこいつ?


女なら一瞬にして落ちてしまうだろうその笑顔は俺にとっちゃ気持ち悪いって以外なかった。


いやいや、、気持ち悪い笑顔より、今男が言ったことを気にかけろ。

 


店員じゃないって?


じゃ、何か?


俺の直感はハズレてこいつはお客?


いや、それは違う。


絶対客じゃない。


ってことはやっぱりこいつはあの女性の彼氏。



『花、買いに来たんですよね?』


「え?あ、・・・、はい。」



俺はバカか?


こいつに答える必要なんかないのに何返事してる。



『うーん、好きなもの選んでもらって、それをただ包むだけならできるけど、こんな感じでブーケ作ってください、とか、こんなイメージでアレンジメント作ってください、ってのは勘弁してほしい。』


そう言いながらカウンターの向こうから男が出て来た。



『何かお目当ての花、ある?』



おいおい、マジかよ?


客だって思ってんだろ?


店員じゃなくても客に対してタメ語で話すってどうなんだ?





さっき感じたのと同じ、見た目は俺より5つくらい年上。


背もそんなに高くない。


グループでもチビの部類に入る俺より少し高いくらいだ。



「あの、あなた店員じゃないって言ったけど、じゃここの店員さんは?ブーケとかアレンジメント、その店員さんだったら作れるんですよね?」


『え?ああ、それはもちろん。けど、今ちょっと出てるんだ。』



出てる?


今ここにいないってことか、・・・。



このまま待ってみるか、


出直して来るか、


さて、どうする?



-当たり前だ、待つに決まってるだろ?-


自分の中のもう一人の自分の声がする。



「じゃ、待ちます。その人が帰って来るまで。」


『そ、じゃそうして。』


あっさりそう言い男はまたカウンターの向こうへ行ってしまった。



そしてカウンターの向こうへ戻った男はそのカウンターに広げられているいろんな色のいろんな花を手に取り、茎をハサミで切り、同じようにカウンターにあるカゴへとそれらを挿していった。



何?


こいつ?


ぎこちない手つきで切った花をカゴに挿していく男の姿にあの女性はこんなヤツのどこがいいんだろう?って思う。



パチン、


カサッ、


パチン、


カサッ、


ハサミと切られた花がカゴへ挿される音が交互に聞こえる。



男が出すその音を聞きながら、店内に置かれた鉢植えの花や、観葉植物、バケツに入れられた花や天井から吊るされたカゴに入った植物なんかを眺めていた。



しばらくそうしていたら、


・・・、カラン、・・・、


扉に付けられた鐘の音がした。


その音に店の入り口を振り返る。



その瞬間俺の全身にまたイナズマが走る。


あの人だ。


今夜俺が恋に落ちた相手。



『あ、お帰り。』


『お帰りじゃないよ。貴久が指定した豆買うのにどこまで行ったと思ってるの?』


『悪い、悪い。』


男がカウンターから笑う。


『コーヒーの豆なんてそこのスーパーでも売ってるのに、パナマ産のエスメラルダゲイシャってヤツじゃないとダメだって。一体なんのこだわり?まったく、・・・、』


『あはは、・・・。ほんと悪かった。けど、その豆置いてる店ってこの店の常連だろ?』


『そうだけど。』


『一袋一万円の高級豆もこの店の常連の、それも莉夏のファンのあのおやじさんだったら少しおまけしてくれるかなってさ。』


『そんなことで私をあの店まで行かせたの?ほんと信じられない。』


店内の隅っこにいる俺なんか眼中にないって感じで話し続ける男と、俺が一目惚れした女性。



莉夏。


これがあの人の名前。


取り敢えず第一段階終了。


一目惚れした女性の名前は分かった。



やっぱりこの男はあの人と彼氏。


2人の様子を見てこう確信する。



さぁ、ここからだ。


この男からあの人を奪うにはどうしたらいい?



さっきパッと見かけただけでも分かった、俺より少し年上の女性。


たぶん赤茶色の髪の男と同じくらい。



落ち着いた大人のカップルってか?


上等だ。


やってやろうじゃないか。



「あの、・・・、」


『あ、忘れてた。莉夏、そちらの方お客さん、ブーケやアレンジメントを希望みたい。だからそれができる莉夏が帰って来るのを待ってもらってたんだ。』


2人の会話に割って入ろうとしたら先に男が口を開いた。



『え?ああ、すいません。お待たせしてしまって。』


男に言われて初めて俺を見る女性。


そのとき、・・・、



・・・、ガサッ。



女性が手に持っていた茶色の紙袋が店の床に落ちる。



『おい、莉夏、せっかく買った高級豆になんてことするんだ?』


床に落ちた袋に男が声をあげる。



『・・・・・・。』


『おい、莉夏。』


男の声に何も答えない女性、・・・、莉夏さん。



『おい、莉夏ってば。』


『・・・・・・・。』


俺をじっと見つめ、男の声に答えない莉夏さん。



きれいだ。


イナズマで体がしびれてる上に、そのきれな瞳で見られると、・・・。





古臭い言い方かも知れないけどドキドキが止まらない。



『あ、・・・、ごめんなさい。希望はアレンジメントですか?ブーケですか?』



慌ててそう言った莉夏さんは俺の方へやって来て、


『どんなイメージでお作りしましょうか?』


今俺の前に並んでる花たちに目を向けた。


そんな莉夏さんに俺はもうメロメロになっていた。